検索

サッカー日本代表のブラジル撃破に、万感のセルジオ越後「負けた言い訳をするブラジルの友人に言い返してやったよ(笑)」 (2ページ目)

  • 渡辺達也●構成 text by Watanabe Tatsuya

【それにしても、ブラジル代表が心配だ】

 MVPは間違いなく堂安律だね。3バックよりもボランチよりも体を張って守っていた。よく(交代する)85分まで持ったと思うよ。彼がいなかったら、0-3、0-4になっていたかもしれない。それくらいブラジルの攻撃のポイントを潰していた。

 アップダウンの運動量もすごいし、当たり負けしないというか、簡単に転ばない。レベルの高い相手と戦う時、ウイングバックはあれくらい守って最終ラインを助けないと厳しい。でも、この日の堂安はペナルティエリア内にまで戻って体を張っていた。

 もうひとり、上田もよかった。パラグアイ戦での後半アディショナルタイムの同点ゴール、ブラジル戦の逆転ゴールと、今、ノッているね。試合後のインタビューも面白かった。「ワールドカップの目標は?」と聞かれて、「もちろん、優勝です」と答えたけど、「約束できますか?」と聞かれると「約束はできません」と。本音だろうね。「優勝する」じゃなく「優勝にチャレンジする」。それでいいと思う。

 それにしても、ブラジル代表が心配だ。ネイマールの次の"怪物"が出てこない。ワールドカップ南米予選も苦労して(5位通過)、監督も初めて外国人を招聘した。20歳前後の若い選手が何人か出てきているけど、どこまで伸びるかはわからない。

 一番の課題はストライカーがいないこと。エースといわれるFWヴィニシウス・ジュニオールはいい選手だけど、ストライカーというよりも、サイドを崩してチャンスをつくるタイプだよね。所属のレアル・マドリードではキリアン・エムバペというストライカーがいるからこそ、自身の持ち味を存分に発揮できている。でも、今のブラジルにはエムバペのようなストライカーはいない。誰かが出てこないと、来年のワールドカップ本番でも苦しむだろうね。

(20)>>>セルジオ越後「サッカー日本代表はブラジルに勝った喜びで、その前の3試合を忘れてはいけない」

著者プロフィール

  • セルジオ越後

    セルジオ越後 (せるじお・えちご)

    サッカー評論家。1945年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。17歳の時に名門コリンチャンスのテストに合格し、18歳の時にプロ契約を結び、MF、FWとして活躍した。「エラシコ」と呼ばれるフェイントを発案し、ブラジル代表の背番号10を背負った同僚のリベリーノに教えたことでも有名。1972年に日本リーグの藤和不動産(湘南ベルマーレの前身)から誘いを受け、27歳で来日。1978年から日本サッカー協会公認の「さわやかサッカー教室」で全国を回り、開催1000回以上、のべ60万人以上を指導した。H.C.日光アイスバックスのシニアディレクター。日本アンプティサッカー協会最高顧問。公式ホームページ【http://www.sergio-echigo.com】

2 / 2

キーワード

このページのトップに戻る