サッカー日本代表のブラジル戦歴史的勝利を林陵平が詳細解説 後半変わったのはハイプレスだけではない (3ページ目)
【3バックがよく対応した】
ブラジルは選手交代でジョエリントン、マテウス・クーニャ、ロドリゴを入れてきましたが、流れは変わらなかった。日本のプレスが徹底されていました。ただ、これができるのは日本の後ろの3枚。3バックがすばらしかったことを忘れてはいけません。特に両脇の渡辺剛と鈴木淳之介の負荷がかなり高いんですけど、ここが1対1でしっかり止めてくれたのが本当に大きい。ここで負けると前掛かりになっているぶん、スペースを使われて、3トップにやられ放題になってしまいますから。
また、ハイプレスをかけてもボールが奪えず、どうしても相手に持たれる時のミドルブロックのところでも、日本の守り方は後半変わりました。シャドーのひとりの南野がボランチ脇まで戻らず、相手のCBを少し捕まえるような形で前残りしていたんです。
これで後ろが重く(人数が多く)はならなかったんですが、左サイドにはスペースが空く。ただ、ブラジルの右ウイングにボールが入った場合は、鈴木淳之介がスライドして4-4-2の形で守ったのがうまくはまった。前半と同じ5-4-1のブロックで守っていたら、多分攻めにいけなかったでしょう。
逆転ゴールはCKから上田のヘディングが決まりましたが、その前の日本のゴールキックの鈴木彩艶の飛距離がポイントです。めちゃめちゃ飛んでアタッキングサードまでいった。これを上田が伊東に落として、クロスからCKになりました。
アディショナルタイムは6分ありましたが、日本はしっかりプレーして勝ちきりました。本当に歴史的な勝利だと思います。やはり今の日本のベースは、「いい守備からいい攻撃」なんですよね。自分たちがボールを保持して何をするかももちろん大事なんですけど、今の日本代表の特徴はいい守備をして高い位置で奪っていい攻撃というのが、一番いい流れなんです。
このブラジル相手に0-2から3-2に持っていけるのは、やはり実力がなければできない。ただ、これはなかなかできることではないですよね。
前半、あのミドルブロックとローブロックで構えたというチョイスは悪くなかったですけど、やはり重くなりすぎましたし、0-0で終えたかった。だからゲームの入り方、持っていき方は課題なのかなと思いました。
著者プロフィール
林 陵平 (はやし・りょうへい)
1986年9月8日生まれ。東京都八王子市出身。ジュニアからユースまで、東京ヴェルディの育成組織でプレーし、明治大学を経て2009年に東京ヴェルディ入り。レフティの大型FWとして活躍した。10年に柏レイソルに移籍し、11年にJ1優勝を経験。その後、モンテディオ山形、水戸ホーリーホック、再び東京Ⅴ、FC町田ゼルビア、ザスパクサツ群馬でプレーし、20年に現役を引退。Jリーグ通算300試合出場67得点。現役時代から海外サッカー通として知られ、メディア出演多数。現在はプレミアリーグからJリーグまで幅広く解説を務め、トップランナーとして活躍中。
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