サッカー日本代表が御大アンチェロッティ率いるブラジル代表を撃破した意味 目標のワールドカップ優勝を狙うために必要なことは? (2ページ目)
【「まだこのゲームは死んでいないよ。1点を返したら勝負になる」】
だが、2020年代のジャパンは列強との戦いで劣勢に立たされた時に、とてつもない底力を発揮する。カタールW杯でスペインとドイツに先制されながら、逆転勝利を収めたように。
「まだこのゲームは死んでいないよ。1点を返したら、絶対に勝負になるから」と、ハーフタイムにキャプテンの南野拓実が仲間に声をかけ、「前から同数でプレス」をかけていくことに決めた。
すると50分すぎに、上田綺世のハイプレスがファブリシオ・ブルーノのミスを誘い、ボックス内でチャンスボールを拾った南野がシュートを突き刺して1点を返す。直後に投入された伊東純也は、まさしくゲームチェンジャーとなり、日本に傾いた流れをさらに後押し。62分、右サイドを猛然と駆け抜けた伊東がファーサイドにクロスを上げると、中村敬斗が得意のボレーシュートを合わせて同点とした。
その5分後に冒頭のシーンが訪れ、勝ち越し点を取り消されたと感じたからか、ブラジルの面々は苛立ちを募らせていく。そして71分、伊東がコーナーキックを入れると、現在、世界のトップレベルで有数の得点率を誇る上田が、破壊力満点のヘディングを叩き込み、日本が19分間で逆転に成功。くどいようだが、相手はクラブレベルで欧州を7度制したアンチェロッティ監督が率いる、W杯5度の優勝記録を持つブラジルだ。日本のブラジル戦の初勝利が、こんなに劇的な形で訪れるなんて、ちょっと想像できなかった。観ていた日本人ファンの誰もが、痺れたはずだ。
試合後の記者会見では、ブラジル代表監督に、日本の印象と日本が世界一を狙うと公言していることについて、質問が投げかけられた。
「とても強いチームだと思いました。今日は特に後半、彼らの前線からのプレスに悩まされ、うちのビルドアップが困難に陥りました」とアンチェロッティ監督は、時々スペイン語が混ざるポルトガル語で応えた。ただし、ふたつ目の質問への回答はなかった。そんなことは自分たちで考えなさい、ということなのか、あるいはただ不機嫌だっただけか。
はたして、日本代表は目標としている世界の頂点に立てるのか──。
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