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サッカー日本代表の問題点が露呈したパラグアイ戦 3バックの構造が破綻して生まれた2失点 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 このままでは、3バックとウイングバックの接続域は必ず"火薬庫"になるだろう。スペースの管理が難しく、どれだけケアしても、スライドしても、背後を取ることで牽制しても、ズレが起こる。その結果、人数がいるのに守れない現象が起きるのだ。

 日常的に3バックやウイングバックでプレーする選手が少なく、選手の適性もないなか、なぜ森保監督がこの戦いに固執するのか。攻撃の枚数を増やし、トライアングルを作るにしても、守備の負担が大きすぎる。単純に、欧州のトップリーグで二桁得点できるサイドアタッカーを重用し、人材の豊富な中盤(ケガ人も含めば、遠藤航、守田英正、鎌田大地、佐野海舟、田中碧など)の枚数を増やすほうが得策のはずなのだが......。

 これがワールドカップだったら、目も当てられないゲームだった。スタジアムは最後の一撃に歓喜していたが、パラグアイにとって敵地でのドローは勝利に等しい。原則も守れず、「ワールドカップ優勝」など戯言もいいところだ。

 10月14日のブラジル戦でも、強情な森保監督がやり方を変えるとは思えない。パラグアイ戦で温存したメンバーで同じ戦いをするだろう。上田の連発は可能性があるし、鎌田のプレーメイクは別次元だが、守備は常に火種が燻り、チームとして明るい兆しは乏しい。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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