それでも「ワールドカップ優勝」を目指すサッカー日本代表に、セルジオ越後は「根拠がなさすぎる」「謙虚にベスト8を目指すべき」 (2ページ目)
【アメリカ、メキシコもベストの状態ではなかった】
一方、鈴木彩艶と大迫のふたりがすばらしいプレーを見せたGKに関しては、唯一、心配がなさそうだ。特に、昨年のアジアカップで不安定だった鈴木は、パルマでの1シーズンを経て大きく成長した。つねに落ち着いていて、頼もしかった。まだ23歳と若く、今後が楽しみだ。
アジア予選では日本が完全に主導権を握る試合ばかりで、ピンチ自体が少なかった。今回、相手のレベルが上がったことで、初めて彼らの実力を確認できたというのは、なんとも皮肉だね。
ヨーロッパや南米はネーションズリーグや長いワールドカップ予選を通じて、レベルの高い環境でもまれている。一方、日本はずっとアジアで戦い、予選を終えてから、ようやくワールドカップ出場国との強化試合を組める。嘆いても仕方ないけど、この差は大きい。
森保監督と選手たちは、今回も「ワールドカップで優勝する」と口にしていた。でも、メキシコもアメリカも決してワールドカップで優勝を狙うようなチームではない。うまくいってベスト16、ベスト8くらいの実力だし、彼らにしても、今回、ベストの状態というわけではなかった。
そういう相手に1分け1敗。しかも、2試合で無得点。そもそも日本は昨年のアジアカップでもベスト8で負けているし、アジア予選でもオーストラリアやサウジアラビアには差を見せられなかった。それなのに、ワールドカップで優勝を目指すというのは根拠がなさすぎる。
公言したことで引っこみがつかなくなっているのかもしれないけど、日本はまだチャレンジャーであって、まずは謙虚にベスト8を目指すべき。僕はそう思う。
(18)>>サッカー日本代表の10月のブラジル戦、セルジオ越後が「負けてもいいから、リスク覚悟で点を取りにいってほしい」と語る理由
著者プロフィール

セルジオ越後 (せるじお・えちご)
サッカー評論家。1945年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。17歳の時に名門コリンチャンスのテストに合格し、18歳の時にプロ契約を結び、MF、FWとして活躍した。「エラシコ」と呼ばれるフェイントを発案し、ブラジル代表の背番号10を背負った同僚のリベリーノに教えたことでも有名。1972年に日本リーグの藤和不動産(湘南ベルマーレの前身)から誘いを受け、27歳で来日。1978年から日本サッカー協会公認の「さわやかサッカー教室」で全国を回り、開催1000回以上、のべ60万人以上を指導した。H.C.日光アイスバックスのシニアディレクター。日本アンプティサッカー協会最高顧問。公式ホームページ【http://www.sergio-echigo.com】
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