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サッカー日本代表の場当たり的な3バック&4バックに課題山積み 本番までの時間は多くない (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi

【WBのアタッカー配置がデメリットに】

 結局、ミラーゲームを制したのはアメリカで、特に攻撃が活性化した左サイドではWBの18番も望月との1対1で優勢となり、先制点も18番の突破からのクロスから生まれている。前半の途中から、日本が自陣で5バック(5-4-1)になって守る時間帯が長くなっていただけに、アメリカのゴールは必然だったと受け止めるべきだろう。

 もちろん、日本がメキシコ戦のスタメンで戦っていたら個の質と量も変化するので、違った試合展開になっていた可能性はある。しかし、来年のW杯では実力的に日本が上回るような相手との対戦も確実にあることを考えると、日本がその試合をローテーションで臨めばカタールW杯のコスタリカ戦の再現となるケースも十分に考えられる。

 スタメン編成から見えた課題とは別に、布陣そのものの矛盾も見え隠れした。

 この試合の前半、両WBにアタッカーを配置しなかった日本は、計9本のクロスボールを記録した(右サイドが4本で、左が5本)。堂安律、三笘薫を配置したメキシコ戦の前半はクロスがゼロだった点を考えると、決してアタッカーを配置すればサイド攻撃が機能するわけではないことが証明され、実際に両サイドから相手ゴールを脅かしたシーンはメキシコ戦よりも多かった。

 守備面も然り。メキシコ戦も同様だったが、対戦相手の力量や対策次第では、日本が自陣で5バックになって守る時間が長くなる。そうなると、WBにアタッカーを配置する効果は半減するどころか、大事な局面で致命的なミスが発生する確率も高まる。日本の1失点目は、その顕著な例と言っていいだろう。

 つまり、9月シリーズの2試合で明確になったのは、攻守両面で両WBにアタッカーを配置する3-4-2-1のメリットがデメリットになり、布陣の強みとその運用方法に矛盾が生じていることだった。それは、アメリカ戦とは異なるスタメン編成で戦ったメキシコ戦にも共通して言える。

 アジア予選では、日本が敵陣でボールを保持しながら攻め続ける時間が長かったので、そこは大きな問題にはならなかったが、予想どおりと言うべきか、いずれ顕在化すると思われた現状の3-4-2-1の構造的問題が、いよいよリアルに現われた格好だ。

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