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サッカー日本代表の敗因を選手のせいにしてはいけない メキシコ戦、アメリカ戦に収穫なし (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【勢いのある選手も見当たらない】

 選手を試したのは突破を決めた9戦目(オーストラリア戦)から。これでは選手は育たない。実力と枠の関係で言えば、日本は世界で一番余裕があった国だ。にもかかわらず、ベストメンバーで戦い続けた。

 メキシコ戦しかり。絶対に負けられない戦いを続けようとする。だが、体力的に行き詰まる。今回は中2日。3時間の時差があるので、試合間隔は丸2日間なかった。同じメンバーでは戦えない。というわけでアメリカ戦はようやくセカンドチームの登場となった。

 だが、彼らは一緒に戦った経験がない急造チームだ。実力以上にコンビネーションに難を抱えている。戦う前から好結果は望めない状況にあった。なぜ、1戦目と2戦目を均等に振り分けなかったのか。強化を考えればそれがベストだ。コンビネーションプレーはそうでなければ培われない。

 理由は、目の前の試合に勝ちたかったからだ。森保監督にとって大切なのは将来のことより目先の勝利なのだ。メキシコの監督はハビエル・アギーレ。元日本代表監督である。保身のためにも負けられない戦いになってしまった。

 アメリカ戦はそのツケが現われたに過ぎない。結局この2戦を通して選手は誰も育たなかった。収穫ゼロ。チームは強くならなかった。原因はハッキリしている。森保監督の負けを怖がる気質である。0-2という結果は矛盾の塊だ。思考が破綻した結果と言われても仕方がない。

 収穫ゼロと述べたが、後退した感さえある。勢いのある選手が見当たらないのだ。メキシコ戦後、「僕らのほうが強かった」と言ったのは久保建英だが、久保がメキシコ戦で特に輝いたわけではなかった。もうひとりの看板選手、三笘薫は、抜けないサイドアタッカーに成り下がってしまった。このアメリカ戦ではウイングバックより15~20メートル高い位置で構えるウイングとして途中出場したが、プレーに鋭さが蘇ることはなかった。

 アメリカ代表の看板選手、ミラン所属のクリスティアン・プリシッチと比べると一目瞭然だった。左サイドからプリシッチとWB(後半はSB)マクシミリアン・アーフステンが仕掛けるサイド攻撃に、日本はタジタジとなった。左を崩されたことが主導権を奪われる結果につながった。

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