検索

名良橋晃がフランスW杯で痛感した世界との差「シュケルは怖かった。常にゴールを狙っていた」 (3ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

 アルゼンチンの強さを、ある意味で洗脳された状態で名良橋はピッチに立った。だが、実際に相対したアルゼンチンはビデオで研究したものとはまるで異なっていた。

「開始してすぐに、アルゼンチンは100%(の力で)来ていないなって思いました。日本にはボールを持たせるけど、アタッキングサードからは自由にやらせないよって感じで、そこからは厳しくくるんです。バティストゥータが1点取ってからは、特にそうでした。したたかなゲーム運びをされてしまいました」

アルゼンチンのシメオネと競り合う名良橋晃 photo by Getty Imagesアルゼンチンのシメオネと競り合う名良橋晃 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 名良橋の正面には、シメオネがいた。シメオネの前にはクラウディオ・ロペスがいて、そこは3バックの右を務める中西永輔が対応していた。

「シメオネはもともとボランチなので、(前へ)仕掛けるのではなく、全体のバランスを取っている感じだったので、そんなに怖さは感じなかったです。逆に、自分が前に行くことで相手の選手を(後方へ)ピン止めさせたいと思っていたんですが......」

 失点は、そのシメオネが起点だった。彼が前線に出したパスが名波浩に当たって、こぼれ球をバティストゥータが鮮やかに決めた。

 以降、名良橋が言うとおり、アルゼンチンは老獪な試合運びで日本の攻撃を封じて、そのまま逃げきった。日本は為す術なく、初戦を0-1で落とした。

「日本もアタッキングサードに入り込めましたし、その回数も何度かあったんですけど、その先の最後の質が足りなかった。フィニッシュの精度を含め、チームとしていかに点を取るかは、大会前からの課題でしたが、初戦であらためて(その課題を)突きつけられた感じになりました。

 それに、強豪国の本当の強さを実感しました。自分たちは開幕からフルパワーでいきますけど、アルゼンチンは優勝までを逆算してプレーしているんだなっていうのは、試合中からわかりました。実際、アルゼンチンは100%(の力を)出さずに勝った。そのくらい力の差があったということです」

3 / 4

キーワード

このページのトップに戻る