【サッカー日本代表】大抜擢された18歳・佐藤龍之介の可能性「成長するチャンス」 (2ページ目)
試合後、落ちついた表情でそう語る佐藤からは、18歳らしからぬ強い責任感がうかがえる。「(代表に選ばれたことで)少し自分に対してのプレッシャーをかけているというか、より責任を感じながらも、ミスを恐れずプレーしている」との姿勢は、決して口だけでなく、ピッチ上のパフォーマンスにも表われているものだ。
開幕前にはJ2降格候補と目されていたJ1初昇格の岡山は、シーズンの半分を終えた現在、勝ち点24の11位につけているが、18歳の新戦力がその大健闘に大きく貢献していることは疑いようがない。
上昇機運高まる両者が、互いを必要とする抜群のタイミングで巡り合い、18歳の日本代表抜擢を後押しした格好だ。佐藤が語る。
「やっぱり(岡山の)街全体として盛り上がりも感じるし、やっぱりチームが勝ったり、いい試合をしたりすることで、よりサポーターのみなさんもまた来たいと思ってくれる。そういうサイクルが今、非常にいいなと思う」
若くして才能を認められた逸材が、期限付き移籍をきっかけに、ようやくプロの世界で覚醒し始めた、と言っていいのだろう。
ただし、である。
佐藤が類まれなタレントであることは否定しないが、率直に言って、現時点で日本代表の中盤に食い込む可能性がある選手、すなわち、来年のワールドカップ本番で遠藤航や鎌田大地の立場を脅かす、あるいは彼らのバックアッパーとなりうる選手だとは言い難い。
岡山での活躍は特筆すべきものだとはいえ、今季J1第19節までに佐藤が先発出場したのは、半分以下の8試合。コンスタントに先発出場が続くようになったのは、5月以降のことだ。
今回の代表選出は、将来への期待値込みと考えるのが妥当だろう。
佐藤は一昨年、U-17日本代表で背番号10を背負い、U-17ワールドカップに出場した。そこでは技術的な強みはもちろんのこと、決して体は大きくないが、外国人選手にぶつかられても体勢がブレない強さやバランスのよさが強く印象に残った。
「自分のドリブルだったり、テクニックというのは発揮できたし、やれる感覚ももちろんあるが、そのなかでチームを勝たせるプレーだったり、ゴールに結びつくプレーだったりはまだまだ物足りないなと思っている」
大会を終え、そんなことを話していた佐藤は、それゆえ今秋開かれるU-20ワールドカップへの強い意欲を見せていた。
「U-17ワールドカップに出させてもらって、本当にいい大会ですごく成長できると思った。そこ(U-20ワールドカップ)に対してのモチベーションもすごくあるし、注目される大会でプレーできるのは幸せなこと」
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