サッカー日本代表・森保監督は27人中何人起用できるか W杯で勝つために必要な先を見越した計画性 (3ページ目)
【サウジアラビア戦のメンバーにも注目】
そして、もしバーレーンに勝利してW杯出場を決めたら、続くサウジアラビア戦では後方を重点的に入れ替えたい。
GKは大迫敬介、谷晃生のどちらか。CBは遠藤を試す。リバプールでは経験済み。日本代表でもいけるのではないか。冨安健洋の現状を考えると、使えるCBの枚数を増やしておきたい。左は中山で、右は高井幸大。守備的MFは田中と旗手怜央。ウイングバックは三笘と関根。2シャドーには南野と久保を置き、1トップは上田を据える。
後半の早い段階で上田に代えて古橋亨梧を、田中に代えて藤田譲瑠チマを投入すれば、この瞬間、長友佑都以外のフィールドプレーヤー全員を使いきることになる。残りの交代枠3人は、前田、町野、菅原、中村......と、選択肢は豊富だ。バーレーン戦で調子のよかった選手、あるいはもう少し様子を見てみたい選手を投入すればいい。
整理すれば、従来のベストメンバーに対し、バーレーン戦では後方を重視しながら前方でテストを行ない、サウジアラビア戦では後方をテストしながら前方を重視する姿勢で臨む。
長友以外の全員の起用に、あらかじめストーリー性を用意しておく余裕がほしい。ペース配分ができないと、相手のレベルが数段高いW杯本大会は戦えないのだ。3戦目、4戦目で手が尽き、以降は相手がさらに強力になるなかで、日本はメンバー的に青息吐息に陥る。
プレッシングがさらに重要視されている時代だ。前線の選手にはボールと相手を組織的に追う、圧倒的な走力が求められる。相手ボール時の対応を完璧にしないと番狂わせは起こせない。それは、総力戦で臨まない限り可能性がないことを意味する。
ベストメンバーの定義は条件によって変わる。1試合なのか、6連戦以上なのか。先を見越した采配をしない限り、新しい景色は拝めない。バーレーン戦、サウジアラビア戦。2試合の選手起用に森保監督はどれほどストーリー性を発揮できるか。2試合セットで目を凝らしたい。最大のチェックポイントは、実際に何人をピッチに送り込むことができたか。起用漏れは許されない。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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