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サッカー日本代表はまたもオールスターキャスト 目の前の試合への固執にこれだけの弊害 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【森保監督は"欧州移住"を撤回】

 同じ選手を起用すれば、先細りになることは見えている。総合力は上がらない。W杯本大会で目標をベスト8以上に据えるなら、強行軍のなかで最低6試合を戦うチームとしての体力が不可欠になる。FIFAランキングに固執してテストや発掘を怠れば、そのツケは必ず訪れる。欧州に腰を据えて長く滞在すれば、その理屈が手に取るようにわかるだろう。

 ところが、森保監督はこの日の代表メンバー発表会見の席上で、移住計画をあっさり撤回。「視察の頻度を上げる」と前言を翻した。Jリーグ軽視との横ヤリに屈したと推察される。またしても日本的価値観のなかにすっかり埋没することになった。欧州組はこの森保監督の態度をどう見るか。

 招集された選手は断らない。欧州シーズンが佳境を迎えるなかで、バーレーン戦、サウジアラビア戦のために帰国したくない選手は実際、いるはずなのだ。欧州の価値観のなかでサッカー人生を過ごしている選手が、森保監督のベストメンバー至上主義に違和感を覚えても不思議はない。

 CLの準々決勝に駒を進めたバイエルンの伊藤洋輝に尋ねてみたくなる。ケガから復帰し、晴れてCL出場を果たしたいま、本心はどうなのかと。バイエルンの一員として出場機会を得ながらCLを勝ち進めば、ものすごく貴重な経験になる。日本代表の財産にもなる。欧州の価値観に従えば、伊藤はいま日本サッカー界にとって一番の希望の星。バーレーン戦、サウジアラビア戦のために招集する必要はない。

 久保建英は、現地時間13日の夜、ヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦セカンドレグでマンチェスター・ユナイテッドとオールドトラフォードで対戦する。ファーストレグの結果は1-1。勝利する可能性は大いにある。また、そうあってほしい。ただそうなれば、スケジュールはよりタイトになる。バーレーン戦、サウジアラビア戦に呼ぶべきではない選手になる。

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