最優秀選手にヴィニシウスを選ばなかったのはなぜ? 森保一監督の投票に透けて見えた「志向」 (2ページ目)
【三笘薫が目指すべきは...】
森保監督の投票の詳細は以下のとおりだった。
最優秀選手=1位ロドリ、2位アーリング・ハーランド、3位キリアン・エムバペ
最優秀監督=1位アンチェロッティ、2位ジョゼップ・グアルディオラ、3位シャビ・アロンソ
遠藤はこのようになる。
最優秀選手=1位ベリンガム、2位ヴィニシウス、3位ロドリ
最優秀監督=1位アンチェロッティ、2位グアルディオラ、3位シャビ・アロンソ
FIFA年間最優秀選手に選ばれたヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード) photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAこの記事に関連する写真を見る 違いが鮮明なのは最優秀選手だ。森保監督は受賞したヴィニシウスを3位にも入れていない。バロンドールの投票で、ロドリに僅差の2位だった選手だ。ベリンガムに次ぐ2位に入れている遠藤のほうが常識的に見える。投票は個人の自由なので批判するつもりはない。何が言いたいのかといえば、森保監督らしさが透けて見える投票であるということだ。
それはウイング軽視の傾向である。
ヴィニシウスは言わずと知れた左ウイングだ。しかし、確実に点を取る。自らのポジションを守りながら得点チャンスに顔を出す。ポジションのセンスが抜群にいい。そのうえで、兼ストライカー的な魅力を発揮する。単なる左ウイングでないところに特別感を抱かせる。
森保サッカーが3-4-2-1を定番とするならば、そこからは育ってこない選手である。それは純然たるウイング不在の布陣だ。三笘薫はそこで、主にウイングバックを務める。三笘の選手としてのキャラを加えれば、ウイングバック兼ウイングという役がせいぜいだ。2シャドーの左を任される機会もあるが、大外に開いて点を取るわけではない。こちらの平均的なポジションは外というより内。カバーエリアの狭い、まさしくシャドーストライカーだ。ウイング兼ストライカーとは一線を画す。
三笘が目指すべきはヴィニシウスだろう。欧州で階段を昇ろうとするときの課題でもある。だが、森保監督はヴィニシウスの価値を認めようとしない。そして三笘の成長に非協力的な采配をする。
2 / 3