佐藤寿人がストライカー視点で上田綺世に注目「身体の強さは特筆すべき。森保監督の信頼感はかなり大きい」 (4ページ目)
【ストライカー不足が叫ばれていたが...】
上田に代わって入った小川航基は限られた時間で、しっかりと結果を出しました。ここに今回はイングランドで好調を維持する大橋祐紀も初選出されています。かつてはストライカー不足が叫ばれていましたけど、切磋琢磨の関係性が生まれているこの9番のポジションは、今、すごくいい状況にあるなと感じています。
中国、バーレーンとの過去2戦に比べれば、スコア的には派手さはなかったですが、アウェーでサウジ相手に隙を与えず勝ちきったところに、あらためて日本の強さが感じられました。システムも含め、相手がいろんな対策をしてきたなかでも、それを上回るクオリティを発揮した。以前であれば浮足立っていたかもしれないですが、動じることなく大人のサッカーをしたという印象です。
これで3連勝を達成し、しかも14得点・無失点という圧倒的な戦いを見せています。次はホームでオーストラリアと対戦しますが、相手は監督が代わったばかりなので、情報があまりないという意味では、日本にとって難しさはあると思います。
オーストラリアは、先日の中国戦では3-1と逆転勝利を収めていますが、おそらくその試合でも採用された3バックでくるのではないでしょうか。日本からすると、同じシステムで見る選手を特定されたほうが、もしかしたら嫌かもしれません。ただそれでも、サウジ戦と同様に対策を講じられても、それを上回る戦いを見せてくれるのではないでしょうか。
森保監督は当然、少しの隙も与えずに勝つことしか考えていないでしょうけど、そのなかでもまたいろんな変化を見せてくれるんじゃないかという期待感もあります。
一方で、アタッキングサードのところでは誰が出ても高い質を見せてくれているんですけど、中盤でゲームを作っていく部分では、現状では遠藤と守田の2人の負担が大きいと感じています。
不安要素と言えば大げさかもしれないですが、彼ら以外の選択肢も生まれてくると、今後の戦いに向けて大きいのではないでしょうか。結果はもちろん、新たなタレントの台頭も楽しみにしたいところです。
【profile】
佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。
著者プロフィール
原山裕平 (はらやま・ゆうへい)
スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。
【図】ポジションの最適解は?サッカー日本代表のアジア最終予選ベスト布陣を考察
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