ワールドカップアジア最終予選開幕 サッカー日本代表の初戦の相手・中国との長い歴史と興亡 (4ページ目)
【中国サッカーの復活はあるか】
将来、「眠れる龍」と言われる中国が目を覚まして、再び日本の前に立ちはだかる日が来るのかもしれない。だが、それは遠い先の話だろう。
権威主義体制の中国では重要なことはすべて中国共産党が決定する。そして、権威主義体制とサッカーは相性が悪い。現在の中国と同じように、1980年代までのソ連や東ドイツは五輪で金メダルを大量に獲得するスポーツ強国だった。だが、彼らはサッカー強化には失敗した。
プレーが途切れないサッカーというスポーツでは、選手は監督の指示を待っている時間はない。パスをすべきか、シュートを狙うべきか、ドリブルを仕掛けるのか、すべてボールを持っている選手が自ら判断するしかないのだ。
だが、権威主義体制の下では個人が自分の頭で物事を考えて判断する習慣を身につけるのは難しいはずだ。中国の現状を見る限り、中国サッカーの復活にはまだまだ時間がかかると思われる。
著者プロフィール
後藤健生 (ごとう・たけお)
1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2022年12月に生涯観戦試合数は7000試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。
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