サッカー日本代表が抱える不安解消へ メンバー発表で見えた「ポスト川島」不在の終焉 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 今回選ばれた谷、大迫、鈴木は、U-17やU-20の年代別日本代表で豊富な実績を残していることからもわかるように、若くして才能を開花させた有望株が、その後も順調に成長してきた選手たちである。

 3人が揃って登録メンバー入りした東京五輪では、谷が正GKを務めたが、それから3年の歳月を経て、それぞれが成長。今度は舞台をA代表に変え、ポジション争いを繰り広げることになったのだ。

 現時点で正GKの座に一番近いのは、鈴木だろう。

 森保一監督は、パリ五輪の出場資格を持つ鈴木を昨秋からA代表に専念させ、今年1月のアジアカップでも正GKの重責を託している。

 昨夏、アカデミーから長く過ごした浦和レッズを離れ、シント・トロイデンに移籍した鈴木だが、わずか1シーズンでセリエAのパルマへと大きくステップアップ。アジアカップでは戦犯とでも言うべき評価も受けた鈴木だったが、ヨーロッパでの評価は、日本で考えられている以上に高かったということだろう。

 一方で、谷や大迫も、着実に成長を続けている。

 谷は町田ゼルビアで、大迫はサンフレッチェ広島で、それぞれ守護神としてクラブの優勝争いを繰り広げているのが、何よりの証拠だ。

 これだけ戦力が充実していれば、パリ五輪で出色の働きを見せた小久保玲央ブライアンでさえも、そう易々とメンバー入りできないのも無理はないだろう。

 フィールドプレーヤーと比べれば選手寿命が長く、経験が必要なポジションにあっては、3人とも年齢的に若く、今後の成長もまだまだ期待できる。

 それでいて、GKというポジションはたったひとつ。対戦相手によって選手を入れ替えたり、試合途中の選手交代で流れを変えたりするポジションではないだけに、選手個々がレベルアップすればするほど、その争いはひと際シビアなものとなる。

 川口と楢崎がしのぎを削った時代よりも、質においても、数においてもハイレベルな"3強時代"がやって来るのかもしれない。

 いや、よりレベルの高い争いが繰り広げられるのは間違いないとしても、その後ろには小久保も控えているのである。4強、あるいは5強の時代が来ても、もはや不思議ではない。

 まもなく始まる最終予選が、そんな時代の幕開けとなるのかもしれない。

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