サッカー日本代表「森保チルドレン」浅野拓磨の起用法はこれでいい? 俊足アタッカーの欧州での「使われ方」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【右サイドで奮闘したレアル・マドリード戦】

 そういう意味で、浅野起用の最適解は、右サイドアタッカーになるのではないか。

 昨シーズン、ボーフムでバイエルンを沈めた一撃も、カウンターの場面、右を走って背後を取っていた。ボランチからのラストパスを受け、すばらしいコントロールからスライディングも見透かし、ファーサイドに流し込んだ(そのあとも、右サイドでキム・ミンジェと1対1になって際どいシュートを放っていた)。

 そして浅野が右サイドで輝くのは、トップに高く、強く、ロングボールが収まる選手がいる時と言える。

 マジョルカのハゴバ・アラサテ監督は、ワントップに身長194センチのポストマン、ヴェダト・ムリキを置くことで、浅野の走力の高さを引き出している。ムリキがボールを収め、競ることでできたスペースに浅野を走らせる。試合展開のなかでは左に回ることもあるが、右サイドが主戦場だ(ボーフムでも、フィリップ・ホフマン、モリッツ・ブロシンスキなど190センチ以上のFWが中央にいた)。

 開幕のレアル・マドリード戦、右サイドで対峙したフェルラン・メンディは走り回る浅野に手を焼き、苛ついていたのか、終了間際にレッドカードで退場処分になっている。第2節オサスナ戦では、セットプレーの流れから右大外でフリーになってヘディングを叩きつけたが、バウンドが大きく、そのままバーを越えた。ただ、右サイドでボールを呼び込む力があることは見せつけている。

 森保監督が率いる日本代表で、浅野はワントップで起用されることが多い。カタールW杯では、やや似たタイプの前田大然と入れ替わりで途中から入っている。その後、昨年、今年と、上田綺世がワントップで台頭し、さらに細谷真大、小川航基が積極的に登用されるなど、浅野の序列はやや落ちているように見える。所属クラブが降格の危機に陥って、移籍問題などの影響もあったが。

 浅野が世界と戦う武器になるとすれば、伊東純也を右サイドで使っていたのに近い使い方が最善かもしれない。190センチの長身FWは日本には見当たらないが、右サイドでは相手に脅威を与えられる。ゴールに近づけば近づくほど(それも大舞台で)、抜群の集中力から出た技術でゴールを狙える稀有な選手でもある。

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