サッカー日本代表ワールドカップ最終予選も酷暑との戦い 9月のアウェー・バーレーン戦は相当な厳しさに (2ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

【9月10日のバーレーン戦はかなりの暑さ】

 この時の最終予選は5チームによるホーム&アウェー総当たりだったので、UAE戦の前週には日本代表の試合がなかった。そこで、僕はUAE入りする前にサウジアラビアを訪れて、グループAのサウジアラビア対クウェートの試合をリヤドのキング・ファハド・インターナショナル・スタジアムで観戦した。

 当時のサウジアラビアは入国ビザを取るのが非常に難しい国だったが、かつてサウジアラビアのいくつかのクラブで監督を務めたことがあるゾラン・ジョルジェビッチというセルビア人コーチが知り合いだったので、彼に頼んでサウジアラビアサッカー連盟から招待のレターを取りつけたのだ。

 サウジアラビアの首都リヤドはアラビア半島の内陸部ナジュド地方にあり、豊富なオイルマネーをつぎ込んで建設された高層ビルが立ち並んでいる。

 ここは砂漠の真ん中なので、アラビア湾地域とは逆に湿度が極端に低い。日中には気温が50度近くに達するから、ホテルを出て街歩きをする気も起らなかった。出かけるのは、夕方、日がかげってからしかない(ただし、ホテルの部屋で洗濯して、洗濯ものをそのまま吊るしておくとアッという間に乾いてしまうので便利だった)。

 砂漠の真ん中では、日が沈むと気温はどんどん下がってくる。

 リヤドの試合は20時30分キックオフ。湿度は相変わらず15%ほどだったが、気温は35度くらいまで下がっていた。湿度が低いから観戦メモは乾燥してパリパリになっており、アブダビとは逆に今にも破れてしまいそうだった。

 この試合は中東同士の対戦だったのでどちらも気候には慣れており、普通に試合が行なわれた。試合が終わって、ピッチの芝生の上を歩いて記者会見室まで行く頃には気温もさらに下がって、風も吹いて涼しさすら感じることができた。

 気温は超高温だが湿度が低いリヤドと、気温は少し低いが湿度が高いアブダビ......。究極の選択だが、やはり湿度が高いアブダビのほうが体にはこたえた。

 いずれにしても、夏場にはあんな場所で試合をすべきではない。

 ところが、だ。来月10日には、日本代表がバーレーンの国立競技場でアウェー戦を戦うことになっている。天気予報アプリで調べてみたら、9月10日の最高気温は37度、最低気温は31度となっていた。バーレーン戦のキックオフは現地時間21時(日本時間11日午前1時)だが、気温が30度をはるかに超えていることは間違いない。そして、湿度も高い......。

 どう考えても、まともな試合ができる気候条件ではない。Jリーグ所属の選手は8月のリーグ戦でたっぷり暑熱対策ができているかもしれないが、ヨーロッパで活躍している選手にとってこの暑さは大きな敵になるはずだ。

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