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サッカー日本代表ワールドカップ最終予選も酷暑との戦い 9月のアウェー・バーレーン戦は相当な厳しさに (3ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

【ホーム・バーレーンにとっても厳しい試合】

 今回の最終予選もホーム&アウェーで行なわれる。スケジュールを見ると、日本は2025年3月20日にホームにバーレーンを迎え撃つことになっている(スタジアムは未定)。

 それなら、ホームとアウェーを入れ替えればよかったのではないだろうか?

 9月10日に日本ホームで試合をすれば、バーレーンよりははるかにマシな気候のはず。そして、3月のバーレーンなら、いいコンディションで試合ができるはずだ。

 アジアサッカー連盟は各チームの入ったポット順に機械的に日程を決めている。だが、アジアというのは気候的に大きなバラつきがある広大な大陸なのだ。日程を決める時には、気候条件を考慮に入れるべきだろう。そうやって、いいコンディションでハイレベルの試合を行なうことは、アジアのレベルアップにもつながるはずだ。

 少なくとも、日本協会とバーレーン協会の間で、そうした日程変更の交渉を行なうべきだった。バーレーン側は日程変更に反対しただろうか?

 暑さのなかでの試合は、バーレーンに有利なのだろうか?

 必ずしもそうとは言えない。あの、1997年のアブダビでの試合もそうだった。後半に入って足が止まったのは、むしろUAE代表のほうだった。そして、75分には中田英寿のFKを井原正巳が頭で折り返し、中央でDFの小村徳男が押し込んだ。小村がオフサイドでこのゴールは認められなかったが、試合終盤に優勢に試合を進めていたのは日本だった。

 そもそも、夏場が猛暑に見舞われる中東では秋春制が一般的で、夏場はシーズンオフなのだ。

 日程表を見ると、バーレーン代表は9月5日にオーストラリアとのアウェー戦を戦ってからホームに戻って日本と戦うことになっている。

 南半球のオーストラリアの9月は冬の終わりだ。試合は南東部のクイーンズランド州ゴールドコーストで行なわれ、それほど寒いわけではないが、最高気温は25度ほどらしい。

 ゴールドコーストからバーレーンまでの移動距離は、埼玉スタジアムからの移動よりも長く、そして気温差も大きいのだ。バーレーン代表にとっても9月10日のホームゲームはコンディション調整が難しくなる。もし、9月10日の試合を日本で行なえば、移動距離が短く、時差も少ないので、バーレーンにとっても調整ははるかに楽になるはずだ。

 いずれにしても、9月10日の試合の勝敗はチーム力よりもコンディション調整にかかっている。森保一監督のマネージメント能力が問われる試合になる。

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著者プロフィール

  • 後藤健生

    後藤健生 (ごとう・たけお)

    1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2022年12月に生涯観戦試合数は7000試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。

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