パリ五輪代表メンバー争い最大の激戦区「FW」 最後にモノを言うのは実績か勢いか、それとも... (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 対して左ウイングの有力候補は、平河悠だ。

 昨季町田で頭角を現わしてきた新鋭は、昨年6月に初招集されたばかりだが、スピードのあるドリブル突破に加えて守備での1対1にも強く、瞬く間にチーム内での序列を上げてきた。先発で出るにしろ、スーパーサブになるにしろ、もはやチームに欠かすことのできない存在だろう。

 このふたりとウイング枠を争うのは、左右どちらもこなす佐藤恵允(ブレーメン)。U23アジアカップで残したインパクトという点では、山田や平河には及ばないが、それまでの親善試合ではヨーロッパの強豪国相手に力を発揮しており、五輪本番向きの選手とも言える。

 また、FWのメンバー争いがここに来て激しさを増しているのは、U23アジアカップには出場していなかった海外組の存在があるから。すなわち、オランダでプレーする"スパルタ・ロッテルダムコンビ"、斉藤光毅と三戸舜介である。

 ふたりとも所属クラブの事情でU23アジアカップ本大会には出場していないが、昨秋の予選には出場しているのをはじめ、このチームの活動には何度も参加しており、連係面での不安はない。

 それどころか、斉藤は横浜FCに所属していた頃から、飛び級で2019年のU-20ワールドカップに出場するなど、パリ世代を牽引する立場の選手だったのである。結果的にコロナ禍で2021年の同大会は中止になってしまったが、もしも開催されていれば、日本の攻撃の中心にいたのは、斉藤だったかもしれない。

 三戸にしても、鈴木彩艶(シント=トロイデン)や藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)らとともに2019年U-17ワールドカップに出場していた俊英である。斉藤と違い、このチームの立ち上げ当初から選ばれてきた選手ではなかったが、実際に招集されて以降に見せてきたパフォーマンスは、むしろ斉藤を上回っているとさえ言ってもいい。

 しかも、三戸は左右ウイングだけでなく、インサイドハーフでもプレーしているだけに、選手起用の幅を広げてくれる存在となる。18人で最大6試合を戦う大会では、非常に重宝する選手だろう。

 以上、U23アジアカップでの大岩監督の選手起用をベースに考えれば、有力候補は細谷、藤尾、山田、平河。

 最後の1枠を佐藤、斉藤、三戸の3人で争うのか。あるいは、三戸がMF枠との兼用でメンバー入りすると考えれば、最後の1枠は佐藤と斉藤の一騎打ちになるのか。

 いずれにしても、GK、DF、MFでは、まず外れることはないだろうという選手が、それぞれ1、2人はいたが、FWだけは絶対的な存在がおらず、選考を予想するのは難しい。細谷、藤尾、山田、平河にしても、考え方ひとつで選外になる可能性がないわけではない。

 当然、OAまで入ってくるとなれば、事態はさらに"混迷"の度合いを増すことになる。

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