宮澤ひなた「マンチェスターでやってきた自分の成長した姿を見せたい」パリ五輪に向け完全復活宣言 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・構成 text&photo by Hayakusa Noriko

――マンチェスター・ユナイテッドで自らの存在を確立し、これからも生き残っていくために、さらに自分に加えたい要素はありますか。

宮澤 英語力! ピッチ上では意外と、何となく(周りの選手が何を言っているのか)わかるんですよ。でも、こちらが要求したいことが思うように伝えられない。どういう意図でこのパスを出したのか、もっと人と人との間にいてほしいとか。単語では言いますけど、細かいニュアンスが伝わらず、繊細なコンビネーションプレーや、ちょっとした修正をした時など、どうしても1テンポ(プレーが)遅れてしまうんです。

 監督からは、ボランチでは「ゲームを落ちつかせてほしい」、1.5列目では「チャンスメイクをしてほしい」と言われていて、スピードよりゲームコントロールを期待されているので、なおさらコミュニケーションの必要性を感じています。

――それが実現できれば、ワールドクラスの能力の高い選手を"使える"面白さが増しそうですね。

宮澤 それはありますね。でもそういう能力の高い選手って、味方を使うことより、自分で仕掛けていきたいんですよね。サポートに行ってもこっちを使わずに仕掛けちゃう。たとえ敵3人に囲まれていても行っちゃいますからね(苦笑)。日本では、相手に囲まれたら(仕掛けるのを)やめる判断もあるけど、それがない。逆に「なんで日本人は自分で行かないんだ」って言われてしまう。

 どんどん仕掛けていくのは外国人選手のいいところでもあるので、考え方次第ではあるんですが......。そこを我慢して人を使って自分も生きるとか、あえて(ボールに)絡まずにタイミングを見て自分がスペースに出ていくとか、そういう部分をチームとしてすり合わせていけば、自分がパスを出せる選手がもっと増えるし、チャンスは広がるはずなんですが。

――そういったことを経験し、いろいろと吸収している真っ只中の昨年12月に負傷。かなりキツかったと思います。

宮澤 そうですね。あそこでゲガをしていなかったら、シーズンを通してスタメンに定着できたかもなって思うことは何度もありました......。

――マンチェスターでは活躍の糸口を見つけかけたタイミングで、なでしこジャパンではパリ五輪へ向けて新しいオプションを試す時期でもありましたからね。

宮澤 いろいろなことが頭をよぎりました......。マンチェスターではようやくゴールを決めて、やっと自分のプレーをわかってもらえるようになって「これからだな」というタイミングでしたし。オリンピックに向けては、「ああ、全治4カ月かぁ」「アジア最終予選には行けないな」といった感じで。

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