U-23日本代表に足りないのは何か オーバーエイジ3人を想定すると見えてくる (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 さらに、本来はパリ世代の久保建英(レアル・ソシエダ)が入ることで、攻撃の幅は広がる。サイドには平河悠、山田楓喜、佐藤恵允だけでなく、今回の招集が見送られた斉藤光毅、三戸舜介(ともにスパルタ)など人材豊富だが、久保はプレーインテリジェンスと経験で凌駕している。

 ただし、今シーズンの久保は試合数が多すぎる。アジアカップ参戦後はコンディション不良で、国内リーグ10試合(2試合は控え)でわずか1点(参戦前は6得点)。本人は東京五輪のリベンジもしたいはずで、欧州で戦える利点もある。しかし大きなケガも心配で、来季を考えたらクラブの意思を尊重すべきだろう。

 五輪代表は、今回のU-23日本代表とはまったく違うチームになるかもしれない。メダルにこだわるなら、それがあるべき姿とも言える。ただ、チームは単純に足し算にならない。有力な選手が入ると、そこに依存するような形が生まれ、今までのバランスは崩れる。チームは生き物なのだ。OAという幻想に、そこまですがるべきではないだろう。

プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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