サッカー五輪代表、パリ行きがピンチってホント? 4月の最終予選が厳しく過酷な理由
サッカーU-23日本代表がマリ、ウクライナとの親善試合を終え、いよいよ4月15日から始まるパリ五輪出場をかけたアジア最終予選(AFC U23アジアカップ カタール2024)へ臨む。1996年のアトランタ五輪以来7大会連続本大会出場の日本が、今回予選突破へ大変な危機感を持っているのはなぜか。厳しい最終予選に臨むチームの状況を今一度確認しておく必要がある。
【リスクが高まった予選方式】
「1996年のアトランタオリンピック以来、今回の予選は過酷で難しいものになると想像しています」
JFA(日本サッカー協会)の山本昌邦ナショナルチームダイレクター(以下ND)は、マリ戦とウクライナ戦のメンバー発表会見の時に、パリ五輪最終予選の厳しさについて繰り返し伝えた。
U-23日本代表はパリ五輪出場をかけて来月過酷なアジア最終予選に臨む photo by Ikeda Tatsuこの記事に関連する写真を見る「正直この4月の予選、私は危機感しかありません」と語気を強めた時に、会見場の空気がピリッとした。日本のサッカー男子はアトランタ五輪から7大会連続で本大会に出場しているため、おそらく報道陣のなかでも「なんとなく今回も行けるだろう」という感覚になっていた人たちがいたように思う。
そのふわっとした「なんとく行けるだろう」という空気に対して、あらためて危機感を持つよう警鐘を鳴らす会見となった。
山本NDは、コーチとして1996年アトランタ五輪と2000年シドニー五輪、監督として2004年アテネ五輪に五輪代表を率いて出場し、アジアの五輪予選の厳しさを知っているからこその冒頭の言葉となった。
五輪出場国の常連となって以降、オリンピック予選のハードルが上がったのは、おそらく出場権がAFC U23アジアカップの上位チームに与えられるようになった2016年のリオデジャネイロ五輪からだ。
それまで行なっていた長期にわたって開催される予選の場合は、アジアのなかで厚い選手層を誇る日本は有利だった。しかし変更後は、短期決戦かつ一発勝負のトーナメント戦を勝ち上がる必要があるため、日本にとっては大幅にリスクが高まった。
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