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パリ五輪を目指すU-23日本代表 福田正博が「今回ほど予選突破が難しい状況はない」というなかで期待する選手は? (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【今回ほど予選突破が難しい状況はない】

 楽しみなのはGKだ。パリ五輪世代にはA代表でスタメンを張る鈴木彩艶(シント=トロイデン)がいるが、ウクライナ戦に先発出場した小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)は、パリ五輪代表活動の先ではA代表で鈴木と守護神争いをしても不思議はない。

 小久保は193cmのサイズがあるが、目を見張るのは足元でのボール扱いだ。つなぐところと蹴り出すところの判断も洗練されている。落ち着きがあって慌てる様子がまるでなく、動きにバタつきがないから周囲の味方も不安なく、ボールを預けることができていた。U-23日本代表のセンターバック陣は身長180cm台前半と、特別に高さがあるわけではないだけに、高さの面でも小久保の存在はU-23日本代表にとって大きいだろう。

 ただし、こうしたタレントのいるU-23日本代表だが、パリ五輪出場は楽観視できない状況にある。1月のアジアカップで示されたようにアジアのレベルは軒並み高まっているうえ、各国とも日本サッカーをしっかり分析して弱点を突いてくるからだ。

 U-23日本代表は、1996年アトランタ五輪から東京五輪まで7大会連続で出場しているが、今回ほど予選突破が難しい状況はなかった気がする。

 しかも、パリ五輪予選でU-23日本代表がグループリーグで対戦するのは、中国、UAE(アラブ首長国連邦)、韓国の3カ国。決勝トーナメントは各グループ上位2カ国の計8カ国で争い、パリ五輪出場権(3位まで。4位はアフリカ勢とプレーオフ)を手にするには決勝トーナメントで最低2回は勝たなければならない。これはワールドカップに出場するよりも難しい戦いと言っても過言ではない。

 それだけに4月16日のU-23中国代表との一戦から幕を開けるパリ五輪予選の戦いでは、しっかりとU-23日本代表を応援してもらいたい。彼らが固い扉をこじ開け、世界へと飛び出していくことを後押ししてほしい。

著者プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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