サッカー日本代表の選考に残る違和感の象徴 長友佑都に代わる選手はいないのか (2ページ目)
【ボールを持てる左利きの選手を】
ただ、プレーに昔日の面影はない。裏を取られて後ろから引っ掛けるようなプレーが増え、攻防で形勢を悪くしている。体力的にも90分はもたない。
何より、右利きだけに左足でボールを持てずに幅が取れない。ボールを受けても展開がなく、主体的サッカーでは限界を露呈している。昔は俊敏さもタフネスでカバーしていたが、もはや望めない。左ウイングバックにもかかわらず、押し込んだところで攻撃が手詰まりとなり、パスミスからカウンターを食らうシーンもあって空回り気味だ。左足クロスもほとんど入らない。
Jリーグでもこうした状況では、W杯で左ウイングバック、もしくは左サイドバックで世界の猛者と対峙し、攻守でアドバンテージを生めるのか。
「明るく前向きな性格で勝者のメンタリティを持ち、経験も豊かなモチベーター」というのが長友の選考理由だったら、中山より優先された選出は、不思議でも、否定はできない。長友は発信力が飛び抜けて高く、究極的なポジティブ思考である。周囲が引くほどだろう。そのメンタリティは、リーダーとしても捨てがたい。深刻な人材不足の左サイドで、長友を招集する大義名分となる。
ただ、欧州の最前線で戦う選手たちは、そんなモチベーターを必要としているのか?
「自分たちがボールを持つ時間を増やす」
森保監督がW杯ベスト8の条件に挙げた言葉を実行するには、やはり長友の選考は矛盾している。
そもそも、攻められる展開も十分に考えられるW杯本大会では、ウイングバックを使った3-4-2-1の攻撃的シフトは破綻する可能性が高い。結局、5-4-1のようになり押し込まれるだろう。そうなると、左ウイングバックのファーストチョイスである三笘薫は防戦一方となり、本来の攻撃力を生かせない。
長友は、その三笘のバックアッパーなのか。もしくは、4バックに変更した時の要員で、リードした展開ではクローザーになるか。どの展開でも使えそうだが、どの場合でも厳しい。
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