「北朝鮮戦も危ない」サッカー日本代表はなぜロングボールに弱いのか? 福西崇史がその理由と対策を解説

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

サッカー日本代表がアジアカップのイラン戦で執拗なロングボール攻撃に屈し、敗れたのは記憶に新しい。近日行なわれるW杯アジア予選の北朝鮮戦ほか、今後の戦いで相手はこの日本の弱点をどんどん突いてくるだろう。なぜ日本はロングボールに弱いのか。そしてその対策はあるのか。元日本代表の福西崇史氏に聞いた。

【1対1で劣るところを狙われやすい】

 1月にカタールで開催されたアジアカップで、日本はベスト8で敗退。大会を通じてさまざまな課題が浮き彫りになり、そのなかでもロングボールの対応というのは、日本代表が昔から抱えている課題のひとつだった。

ロングボールの対応は日本代表が昔から抱えている課題のひとつ photo by Getty Imagesロングボールの対応は日本代表が昔から抱えている課題のひとつ photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 日本がロングボールを苦手とする理由はいくつかある。

まずは個人の部分。ロングボールを放り込まれると、1対1の競り合いの局面が多くなる。その際、ヘディングで競り合える高さ、相手に体を預けられた時に負けないフィジカル、裏にボールが落ちた時に負けないスピードが必要だ。

 こうした局面で個の能力が求められるが、日本の選手は平均的に身長が高いかと言われればそうでもないし、強いフィジカルがあるかと言われればそうでもない。単純な1対1の勝負に晒されると、不利になる面はある。

 アジアカップで敗れたイラン戦で言えば、明らかにコンディション不良だった板倉滉のところが、右サイドバック(SB)の裏のスペースが空きやすいことも含めて必要に狙われた。逆に個の能力の高い冨安健洋との勝負は避けられていた。

 相手FWよりも最終ラインのどこかが個で劣る部分があると、そこを狙われやすくなるのは当然だ。そこで穴を作らないために、まずは個々の能力を上げるしかない。

 ただ、オランダ代表のフィルジル・ファン・ダイクのような、高さもフィジカルもスピードも兼ね備えた世界トップクラスの選手であっても、ロングボール処理でミスをすることはあるし、相手が強い選手であれば苦労するものだ。

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著者プロフィール

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

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