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「北朝鮮戦も危ない」サッカー日本代表はなぜロングボールに弱いのか? 福西崇史がその理由と対策を解説 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【ロングボールの回数が増えれば事故も起こる】

 もうひとつはグループ・チーム戦術の部分。ロングボールに対して、例えばふたりのセンターバック(CB)のうち、ひとりがボールへ競りにいって相手に体を当てて動きを止め、もうひとりがセカンドボールを拾う。あるいはボランチが拾うことで、グループとしてのロングボールへの対応が機能するものだ。

 そこからチーム戦術として、前からプレスに行くのか、行かずに構えるのか。前から行くためには、後ろはラインを上げて高い位置で止めなければいけない。裏のスペースにボールを蹴られるリスクが高くなるので、そこを足の速いCBが止めるのか、GKがケアするのか、SBが絞るのか。そういったことをチームとして共通理解しておかなければいけない。

 2006年ドイツW杯のオーストラリア戦では、前からプレスに行こうとしているのに、後ろが怖がってラインを上げられなかった。

 オーストラリアは前線に3人を並べてきた。そこで、最終ラインで数的優位を取るために、自分はボランチでありながらCBでもプレーできるような距離感を、DFラインと取らなければいけなかった。そうするためには、前線はプレスに行かずに全体の陣形をコンパクトにしなければいけない。

 しかし、前からプレスに行かないと相手にボールを運ばれて、自ゴールに近い自分たちが不利な立ち位置でロングボールを受けることになる。だから本当は、少しでも前から行かなければいけなかった。

 ただ、そうとわかっていても向こうには長身の選手やヘディングの強い選手がいて、最終ラインを上げたくても、ロングボールを放り込まれるのが怖くて上げられなかった。そうすると僕らはよく"我慢のゲーム"と言っていたが、耐え忍ぶ展開が続いてしまう。試合のなかではそういう難しい展開もある。

 たとえ耐えられていたとしても、回数が増えればいつか事故的なピンチが起きてしまう可能性があるのがロングボールだ。昔は今ほどどの国も組織的ではなく、ロングボールを蹴ってくる国が多かったし、そのため日本がロングボールに苦しむことも多かったのだろう。

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