久保建英の交代でイラン戦後半は「攻撃こそ防御なり」を喪失 レアル・ソシエダは早期復帰を歓迎 (3ページ目)
今大会では、裸の王様になりかけた指揮官のために、久保は服を着せ、王冠を被せようとしていた。結果、グループリーグではベストイレブンにも選ばれている。しかし、乾坤一擲のイラン戦で、王様に戦場からの退却を命じられることになった。あとは陣外から見守るしかない。その結末は、あまりに寂しいものだった。
ただ、久保にはもうひとつの戦場がある。世界的に見れば、CLベスト8を懸けた決戦はアジアカップ以上に価値のある一戦だ。
「タケがいなくなって、ラ・レアルは攻撃力が落ちていた。戦術的整備ができているので、ディフェンスが堪えていたが、タケ復帰は何よりの援軍だ」
ラ・レアル関係者はそう言って喜悦を滲ませる。久保が戦列離脱以来、ラ・レアルはスペイン国王杯こそベスト4に進出したものの、ラ・リーガは4試合でわずか2得点(2失点)、1勝1敗2分けと調子を落としている。そんな苦境に、攻撃を旋回させる主役の帰還だ。
2月6日、ラ・レアルは国王杯優勝に向け、マジョルカとアウェーで対戦する。久保は交代の切り札になるか。そして10日にラ・リーガでオサスナと戦った後、14日にはCLでPSGとの敵地戦となる。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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