日本代表のベトナム戦をスペインの名指導者が分析 ベストプレーヤーと失点の原因は (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【修正すべき課題】

 試合を重ねるなかで、南野はこの時の印象が当たっていたことを証明してくれている。ダブルボランチを組んだ守田、遠藤とのコンビネーションも抜群。コンビネーションの渦を作り出すような鎌田とは違ったタイプのトップ下として、もしくはセカンドストライカーとして、もうひとつのオプションになるだろう」

 エチャリは、そう言って南野のプレークオリティの高さを称賛している。カナダ戦の当時、「シュートを外しすぎだ」と批判さえ受けていた南野を擁護したのは、慧眼だったと言えるだろう。"ゴールが決まったかどうか"だけではなく、"その後にどうなるか"を見極めながら起用することも重要だと言う。

「カタールW杯後の日本は、そういう視点で見た場合、確実にチーム力はアップしている。

 右サイドバックに抜擢された菅原由勢はひとつの収穫であり、効率の高いプレーを見せている。また、左サイドバックの伊藤洋輝は、まだまだパスが合わないところはあるが、確実に成長の跡が見える。そして逆転弾を決めた中村敬斗は、完全に個人技でゴールを決めた形で、楽しみな逸材である。

 一方で前半、ふたつのセットプレーから失点したのは、修正すべき課題と言えるだろう。

 ひとつ目のCK。ゾーンで守るのは悪くないし、相手のラッキーパンチだったとも言える。しかし、遠藤は前を取られており、戦術上のミスだったのも間違いない。相手のサインプレー、フリックの技術でしてやられる形だっただけに、修正が求められる。

 もうひとつ、FKから決められたシーンは、まずFKを与えたところで後手に回っていた。そして気になったのは、ほとんど全員が下がって守備をしていたのだが、人が余ってしまっていることで、それぞれが責任をお互いに預けてしまい、局面で後手に回っていた点だろう。ふたりの選手が重なって相手に競り負けてしまい、GK鈴木彩艶もボールを大きく弾き出すことができずに前へこぼし、そのボールに対しての反応もベトナムの選手よりも遅れていた」

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