「伊藤涼太郎を開幕から抜擢したのは当然」フィンク監督が明かす起用の理由 与えられたタスクに伊藤は「すごく面白い」 (3ページ目)
【2023年8月に浦和レッズから移籍してきた鈴木彩艶】
一方、鈴木のパフォーマンスに大きな波があることも、フィンク監督はわかっている。
「GKは年齢とともによくなっていくものです。まさに赤ワインと同じなんですよ。鈴木にとって必要なことはただひとつ、経験あるのみ。彼はGKとして必要とするものを備えている。ボール保持時のプレーもいい。
あとは自信。試合によって波があるのは、若いGKにとって当然です。ともかくプレー、プレー、プレーすることです。試合に出続けることによって波が減っていき、鈴木は高みで安定したGKになるでしょう」
2024年の元日、伊藤と鈴木はタイ戦の日本代表メンバーに選ばれた。6月11日、雨の降る新潟で「次、みなさんとお会いする時には、日の丸を背負っていたいと思います」と誓った伊藤は、その半年後、東京で約束を果たすことになった。
「素直に選ばれてうれしいですけど、選ばれるだけじゃなくて、しっかりと何か爪痕を残せるようなプレーをしたいなと思っています」
その「爪痕を残す」とは、アジアカップのメンバーに選ばれるようなプレーだろうか?
「アジアカップもそうですけど、それが僕のなかですべてではない。今後のワールドカップに向けての選考だったり、そういったところでもっと選ばれるような爪痕を残したい。
同年代の選手たちの活躍を見ていると、自分にはまだまだ足りないところが多い。そういった選手たちと代表でプレーして、刺激をもらいたい」
一方、鈴木は今年に入ってすでに2試合、日本代表の一員としてプレーしている。
「クラブでも代表でも、やっぱり自分らしくプレーしたいと思っています。あとは結果が伴ってくれれば一番。1月1日のゲームは自分らしくやりたいです」
鈴木の言う「自分らしさ」とはなんだろうか?
「自分の強みであるクロスへのアタック、シュートストップ、あとは長い距離のボールが蹴れるので、そこでチャンスを作るという部分。いいシーンだけじゃないと思いますが、ミスも含めて自分らしいゲームにしたい。 見ている人が『鈴木彩艶がプレーしているな』というのを見せたいですね」
ベルギーで個性に磨きをかけた伊藤と鈴木には、東京・千駄ヶ谷の澄んだ冬空の下、国立競技場のピッチで輝いてほしい。
著者プロフィール
中田 徹 (なかた・とおる)
スポーツライター。 神奈川県出身。オランダを拠点に、2002年よりサッカーを主に取材。オランダスポーツジャーナリストクラブ会員。
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