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サッカー日本代表の2023年を福田正博が評価 上田綺世の存在感アップに「久保竜彦と同じレベルの身体能力がある」 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【テレビ中継がないことが心配】

 これで年内の日本代表活動は終わりになる。W杯アジア2次予選は3月から再開されるが、その前に1月にはアジアカップが控えている。日本代表は1月1日に国立競技場でタイ代表との親善試合から2024年の幕を開ける。今年以上のすばらしい一年に向けた船出となることを期待している。

 最後に日本代表のテレビ中継について触れたい。今回のW杯アジア2次予選ではシリア戦の試合中継がなかった。放映権は、W杯本大会はFIFA、アジア最終予選はAFCが持っているが、アジア2次予選は各国サッカー協会にある。今回はシリアとの交渉において折り合いがつかずに中継を断念したとのことだが、本当に残念だった。

 日本代表の試合は限られた数しかない。そのなかでライト層をどれだけ巻き込めるかは大きなテーマだ。サッカーファンだけが支持してくれればいいという考えもあるが、そこにライト層を巻き込んでいくことが大きなうねりになり、競技の発展へとつながっていく。

 今年3月に行なわれた野球のワールドベースボールクラシック(WBC)を思い出してもらえればわかりやすいだろう。野球ファンの熱量だけで、日本中があそこまで盛り上がることはなかったはずだ。

 WBCとW杯アジア2次予選の格下との対戦を同列にするわけではないが、スポーツが発展していく観点に立てば、何とか中継にこぎつけられなかっただろうかと思う。

 つまり懸念しているのは、今回のシリア戦が前例になってしまうことだ。今後同様の状況になった時に、シリア戦という前例があるからと中継を見送る判断をしやすくなってしまわないか心配している。

 中継されないことが重なれば、ただでさえ試合数が少ない日本代表は、サッカーファン以外にとっては馴染みの薄いものになってしまう。これから先も日本サッカーが発展していくにはJリーグも大事だが、やはり日本代表の盛り上がりも欠かせないだけに、今後は中継されない事態が起きないようにしてもらいたいと思う。

福田正博 
ふくだ・まさひろ/1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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