サッカー日本代表の1トップ争いに注目の新データ 浅野拓磨のポストプレーが成功、1歩リードか (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

【布陣変更で守備を修正】

 そして蓋を開けて見ると、カナダの布陣はサイル・ラリン(17番)とジョナサン・デービッド(20番)を2トップに配置する3-5-2。注目のアルフォンソ・デービス(19番)は左ウイングバックに入った。

 日本が4-1-4-1を採用する場合、守備時はインサイドハーフ1枚が前に出て4-4-2に変形する。この試合では、南野が前に出て、田中と遠藤がダブルボランチを形成したが、3-5-2のカナダに対して前からプレスをかけようとすると、前線は浅野拓磨と南野の2人がカナダの最終ライン3枚を見なければならず、さらに中盤もカナダの5枚に対して日本は4枚と、どうしても数的不利な状況に陥って前からの守備がハマらない。

 その結果、立ち上がりに失点したカナダだったが、その後は前進ルートを手に入れてリズムをつかむことに成功。VAR判定によるPKは、その流れのなかで起こった出来事でもあった。

 そんななか、試合後の会見で森保監督が振り返ったように、日本が守備時の立ち位置を修正したのはVARの判定待ちのタイミングだった。指揮官曰く「選手とコーチ陣が話し合ってくれた」とのことだが、実際にプレーが再開されると、日本の守備陣形が変化。4-4-2ではなく、4-2-3-1にシフトチェンジしている。

 これにより、相手の3バックに中村、浅野、伊東の3人がプレスをかけ、南野がボランチの6番(サミュエル・ピエット)、田中と遠藤が中盤の8番(イスマエル・コネ)と21番(ジョナサン・オソリオ)、そして両ウイングバックに対しては両サイドバックの毎熊晟矢と中山雄太がマッチアップし、ガッチリ噛み合うかたちとなった。

 日本にとって大きかったのは、中盤3枚に2人のボランチタイプとトップ下タイプを起用していたことだった。布陣の性質上、もともと4-3-3は4-2-3-1に移行しやすい布陣ではあるが、仮にボランチタイプを1枚、トップ下タイプを2枚で中盤を構成していたら、ここまでスムーズに可変することはできなかっただろう。

 そういう意味では、4バックなのか3バックなのか、布陣が読めない相手に対するスタメン編成としては、申し分のないものだったと言える。しかも南野は前線でのプレスを得意とするタイプで、実際に日本の先制ゴールも、デービスにプレスバックした南野がボールを奪ったところが起点だった。

 先月のドイツ戦然り、試合中の布陣変更が稀だった第一次森保ジャパン時代と比べると、第二次森保ジャパンではそれが頻繁に行なわれるようになっている点は見逃せない。これが現在の戦い方のスタイルになりつつある。

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