なでしこのスピードスター宮澤ひなたの急成長 W杯でなければできない経験を糧にする (2ページ目)
【今の2人だからこそ成せる連動】
もちろん、この広大なスペースを使ってカウンターで仕留めるには相棒が必要だ。そこにいたのはU-20時代に一緒に戦った植木だった。本来、周囲を活かすプレーは苦手という植木が、宮澤を最大限に活かそうとしている。この先制点も植木と宮澤による阿吽の呼吸で連係が整えられていた。日本の3点目も、植木にボールが入った瞬間に宮澤はすでに走り出し、3人のDFが宮澤の狙いに気づく前にゴールへの道筋は描かれていたのだ。
どれだけ守備でスタミナを使っても植木はギリギリのパスを前線に送り、呼び込む。そこに宮澤が追いつけると信じているからだ。植木は「ひなたのスプリントは世界で通用する」と言いきる。宮澤は「ひとつ前の理子の動きがあるから、自分の前のスペースが空く」とDFを引きつける植木のポジションを感じながらスタートをきる。2人が連動して奪ったこの日のゴールは宮澤2点、植木1点の3得点。2人でゴールにつなげる形はU-20時代には見られなかったもので、それぞれが自身を磨き続け、今の2人だから成せた。
ワールドカップという舞台は選手を成長させる。そして、宮澤もこの3試合でそれを実感している。
「会場が一体となって盛り上がる感じが自分を奮い立たせてくれる。『このワンプレーでこんなに盛り上がるんだ』っていうのは、実際にピッチに立ってみないとわからないこと。選手としてもこの場に立ってよかった、サッカーをやっていてよかったと思える瞬間です」
いよいよ、8月5日のノルウェー戦が20時(日本時間:17時)からノックアウトステージが始まる。日本がイニシアチブを取れる時間は勝ち上がれば勝ち上がるほど限定されていくだろう。そんな時こそ、活かし活かされる宮澤から派生する攻撃で、この先に続くなでしこジャパンの道が開けるはずだ。
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