日本代表の泣き所に光明 史上最高に充実の攻撃陣の起用法に杉山氏が求めること (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【プレーのレベルが上がった古橋】

 ペルー戦は、古橋に対して目を凝らすべき試合でもあったのだ。伊東(右ウイング)、三笘薫(左ウイング)の力はわかっている。遠藤航、鎌田大地しかり。古橋と似た境遇にあった旗手怜央は、先のエクアドル戦で合格点がつけられるプレーを見せた。攻撃陣のなかではただひとりフルタイム出場を飾り、このペルー戦でも連続してスタメンを飾った。カタールW杯に連れて行くべき選手であったと森保監督が後悔したかどうか定かではないが、評価を上げる活躍をしたことは疑いの余地がなかった。では、古橋はどうなのか。

 得点を挙げることはできなかった。しかし、伊東のクロスボールに飛び込みヘディングで惜しいシュートを放った前半14分のプレーを皮切りに、両サイドから送られてくるチャンスボールに反応鋭く飛び込む姿は、筆者の目に眩しく映った。

 日本の中盤と両ウイングは、10段階で言えば7がつけられるレベルにある。まさに粒ぞろいで、優に2チーム以上作ることができそうなほどである。招集されていない選手にも7を付けたくなる好素材は複数いる。日本のストロングポイントと言える。だが他方で、CF、1トップは泣き所だった。代表チームの問題というより、日本サッカー界が長年抱える大問題だった。

 2018年ロシアW杯で1トップを張った大迫勇也は、そうした意味で救世主だった。彼の存在なしに、ベスト16入りは語れない。その大迫を森保監督はカタールW杯のメンバーから外した。古橋の落選より大きな話題を集めたものだ。

 5日前に行なわれたエルサルバドル戦でスタメンを張った上田との比較で言えば、古橋は迫力、躍動感、存在感で勝った。日本が誇る看板ウイング、伊東、三笘、さらにはこの日、インサイドハーフと言うには高めの位置でプレーした鎌田にも負けていなかった。ポストプレーに特長がある大迫とタイプは異なるが、この1年間でプレーのレベルはさらに上がった印象だ。現在28歳。大器晩成型とは古橋のことを指す。2026年北中米W杯まで十分いけそうな可能性を感じさせた。

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