日本代表のストロングポイントはコロンビア戦で機能せず 三笘薫、伊東純也を活かせないのはなぜか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

【SBが高い位置を取れない理由】

 ボールを握るサッカーをしたいと言いながら、そこにベンチの力を感じることができない矛盾を抱える森保ジャパン。監督に限界を感じる一番の理由だ。

 両ウイングが機能しない理由ははっきりしている。三笘のサイドで言うなら、ペルビス・エストゥピニャンがいないことだ。ブライトンでコンビを組むエクアドル代表の左SBであるが、SBの協力なくしてウイングの活躍は見込めないのである。

 森保監督は今回の2連戦で、SBにMF的な動きを求めようとしている。コロンビア戦では、初代表の左SBバングーナガンデ佳史扶に、トライしている形跡が見られた。それはそれで結構なことだが、それ以前に重要となるSBの基本的な仕事は、ウイングとのコンビネーションだ。SBの下支えなしにウイングの活躍が難しいことは、三笘とエストゥピニャンの関係を見れば一目瞭然だ。

(ウイングとSB)対(SB対ウイング)。「両サイドにおけるまさにチェスを連想させるこの2対2は、サッカーで最もワクワクする瞬間だ」とこちらに説いたのは故イビチャ・オシムだった。森保サッカーにはこの要素が決定的に欠けている。サイド攻撃をウイングバックひとりに頼る、5バックになりやすい3バックを愛用してきた過去を見れば、明らかだろう。

 森保監督曰く、SBの指導は名波浩コーチが中心になって行なっているとのことだが、名波氏も監督時代は、森保監督と同種の、サイド攻撃をウイングバックひとりに任せるサッカーをしていた。SB指導の適任者には見えないのである。森保監督に不足している攻撃的な要素を備えていそうに見える名波コーチだが、その過去を見る限り、森保監督と同類の守備的サッカーの信奉者ではないか。

 ウルグアイ戦後にも記したが、両SBが高い位置を取れない理由は、ビルドアップ時に両センターバック(板倉滉、伊藤洋輝)の距離が近すぎることと関係する。ペナルティエリアの両サイド分ぐらい開いていたコロンビアの両CBの距離感と比べれば一目瞭然だった。両CBが開き気味に離れて構えれば、両SBは押し出されるように高い位置に出る。

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