内田篤人「ロールモデルコーチ」の役割は少し特別...監督にもズバッと指摘「トガさん、それじゃねーんじゃねー?」 (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

【現在は3人の代表OBが就任】

 反町康治技術委員長は内田さんの現役引退直後、このロールモデルコーチというポジションを制定した。「最初は色眼鏡で見られるかも」としていたが、今では「必要性をすごく感じている」と話している。

 求めているのは、その名のとおり、選手たちの見本となる人物像だと強調する。

「指導者としての向学心があること。メディアの仕事をしても、ほかのチームに所属していても務められるから、立場的には楽かもしれないけど、その世代の最初から最後までしっかりやってくれ、というのが条件かな。

 あとは、その世代の監督がOKするかどうか。大岩剛の(U-22)チームは置かないと言うから、誰も入れてない」(反町)

 つまり、合宿などに中途半端に参加するのではなく、しっかりとそのチームの一員として活動を行なってほしいということ。お飾りでも名誉職でもないから、監督から求められる存在でなければ務めることはできないということだ。

 現状では内田篤人さんのほか、中村憲剛さん、阿部勇樹さんの計3人が各世代別代表でロールモデルコーチを務めているだけだ。

 冨樫監督は「役立たないロールモデルコーチなら呼んでいない」と断言し、「本当なら入れなくてよかったんだけど、(前段階で一緒に仕事をしていたこともあり)俺が入れてくださいって頼んだんだ」と内田ロールモデルコーチを望んでチームに入れたことを明かす。世界を経験した内田さんとのやりとりは、監督自身のためにもなっているそうだ。

「勉強になるよ。この大会でも選手交代含めていろんな話をしていくなかでね、『トガさん、それじゃねーんじゃねー?』って篤人が言ったところから議論して、『そうだな、(俺の案を)やめよ』って言ったこともあるし。

 ボソッと言った篤人のひと言で、俺が夜中眠れなくなって朝の5時に決めたこともある。結果的に篤人の意見のを採用したら、今度は篤人がそれに責任を感じて勝敗を気にしてずっとドキドキしている......なんてこともあったし」

 正規のコーチングライセンスを現状では持っていないながらも、スタッフの一員として責任を果たしている。

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