クロアチア戦の分岐点をスペインの名指導者が指摘。「あそこで決めるか決めないかは死活問題だ」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

【失点シーンは守備コンセプトのエラー】

 エチャリはそう言って残念がった。

「後半、クロアチアがやや攻勢を強めたことで、日本は受け身になる。右サイドの伊東純也のところで、マークの受け渡しなどで不具合が出始める。左サイドからアーリークロスを上げられる機会が増えていただけに警戒すべきだった。

 そして54分だった。鎌田が相手クロッサーに寄せきれず、鋭いボールを送り込まれている。そして老練にファーサイドで動いたイバン・ペリシッチに、冨安健洋と伊東が間にポジションを取られてしまい、マークを外してしまった。結果的にフリーで豪快にヘディングシュートを叩き込まれた。

 伊東は入ってくる選手をマークできず、ディフェンダーとしては厳しかった。冨安は背後を取られているわけで、それをカバーすることは伊東の役目だったと言える。守備コンセプトのエラーだったと言わざるを得ない。

 ペリシッチは、日本のバックラインを巧妙に動いていた。あるときは、吉田麻也の裏を取っていたし、巧妙にミスを誘っていた。ヘディングでの決定力も含め、差を見せつけた格好だ。

 追いつかれた日本は、ルカ・モドリッチに際どいシュートを打たれるなど、いくらか浮き足立った。伊東と冨安の関係性はその後も狙われて、危うい場面が見えている。この問題は結局、酒井宏樹を投入することで改善された」

 延長からPK戦の流れを、エチャリは落ち着いて見てられなかったという。それだけ、長年にわたって日本代表を見続け、シンパシーも感じるのだ。

「延長は、小さなミスが続いて、チャンスを作り出せていない。たとえば、南野拓実のパスは少しずれ、ラインの見極めにも失敗し、浅野拓磨はポストプレーができず、カウンターの際のコントロールも雑だった。一方で、三笘薫はドリブルから中央へ切り込んでの右足シュートで得点の可能性を感じさせたが......。

 こう着状態を打破することができず、PK戦に雪崩れ込むと、日本は3人が失敗した。

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