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トーナメント巧者・クロアチアに屈した日本。時に押し込まれ、時にボールを持たされ、采配でも後手を踏んだ (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

【ボールを握れるところで行き詰った】

 そこに一発勝負における強さが潜んでいるわけだが、そんな"トーナメントの神"とも言えるクロアチアに対し、日本はどのようなプランで挑んだのか。

 今大会の日本も、相手にボールを持たれる試合で強さを発揮するリアクションサッカーのチームと化していたため、どちらがボールを"相手に握られるか"が、イコール、どちらのペースで試合が展開しているのかをそのまま示す対戦でもあった。

 そういう意味で、日本がスペイン戦と同じ5-4-1を採用したのは、理に適っていたとは言えるだろう。ただし問題は、同じ布陣ではあっても、クロアチアの特性や戦い方の影響により、明確にボールを"保持される"展開にならなかったことだった。

 この試合における日本のボール支配率は、35%(クロアチア=51%、中立=14%)。ドイツ戦の22%(ドイツ=65%、中立=13%)やスペイン戦の14%(スペイン=78%、中立=8%)と比べて大きくアップ。したがって、48%だったコスタリカ戦(コスタリカ=39%、中立=13%)とまでは言えないものの、ボールを握れる状態からの攻撃で行き詰った。

 37%のボール支配率を記録した前半、それでも日本が流れのなかからフィニッシュに至ったのは、41分の鎌田大地のシュートシーン1度だけ。そしてそのチャンスも、遡れば伊東純也が右サイドを高速ドリブルで前進したことで発動されたカウンターが起点だった。つまりコスタリカ戦のように、ボールを保持した状態からの効果的な攻撃は見られなかったのだ。

 対するクロアチアは、日本のカウンターによる被弾を回避すべく、敵陣深いエリア以外ではリスクを冒した縦パスを控え、自陣からのロングボールを多用。とくに左センターバック(CB)のヨシュコ・グヴァルディオルからのフィードを効果的に使って決定機を生み出すなど(前半26分)、躊躇なくアンストラクチャーを作り出し、ボール保持を放棄した。

 主な狙いは得意のクロスボール攻撃で、実際、後半55分に右CBデヤン・ロブレンのクロスからイヴァン・ペリシッチがヘッドで合わせてタイスコアに戻すと、以降も左右からのクロスで日本ゴールを脅かしている。こうして日本の「5-4」のブロックをできるだけ敵陣深くに集めておけば、カウンターのリスクも軽減できる。実に理に適った試合運びと言えた。

 結局、後半に5本のシュートを記録した日本だったが、明確にゴールチャンスと言えるようなシーンはなく、60分以降はほぼ守備に回る時間帯が続いた。

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