久保建英「個人的にはすごく悔しい試合になった」。スペイン戦をどう考え、何を語ったのか (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by JMPA

 それでも、前半で何もできなかった日本は、後半に入って5バックに変更。次々に選手を入れ替えていくと流れも変わり、ドイツ相手に2-1と逆転勝ちを収めた。

「W杯は毎回、ヒーローが替わるところ」と語っていた久保。この試合で目の当たりにしたのは、ベンチを温めていた選手が結果を出したことだった。

「堂安(律)選手はすごく調子がよくて、(試合に)最初から出られずに悔しい思いをしていたけど、(途中から)出てすぐにボールがこぼれてくるのは、すごく"持っているな"と思いました」

 堂安に限らず、途中から出場した選手たちがイキイキとプレーする姿を見て、久保が「自分も」という思いを強くしたことは想像に難くない。

 久保にとって今回のW杯は、東京五輪から続く一連の流れのなかで「出ないといけない」大会だった。ところが、日本代表のシステムのなかではなかなか輝きを発揮できず、スペインリーグでの調子も上がらず、一時は出番がない状態が続いた。W杯のメンバー入りさえ、危ぶまれる時期もあった。

 当然、そういった声は久保の耳にも入っていたのだろう。実際、日本代表のことについて、少しナーバスになっていた時もあったという。それでも、徐々に状態を上げていった久保は、最終的に26名の代表メンバー入り。大会本番では、攻撃的MFとしてチャンスメイクやゴールが期待されていた。

 しかし、ドイツ戦では守備戦術を敷いた前半に出場し、久保の個性はまったく生かされなかった。コスタリカ戦では日本が主導権を握れるからこそ、攻撃センスのある久保の活躍が期待されたが、出番はなかった。

 迎えたスペイン戦。久保は「出場のチャンスを与えられるのであれば、無駄にしたくない」と語っていたが、前半はドイツ戦と似たような展開となった。ボールは相手に完全に保持されていた。

 それに対して、日本は全員で守備をこなして失点をしないプランだったが、前半11分に失点。その目論見はすぐに崩れた。以降も、前にボールが入った瞬間、一気にギアを上げてくるスペインの攻撃に圧され、日本はほぼ防戦一方だった。

 そんななか、久保は何度か繰り出したカウンターに手応えを感じていた。

「ドイツ戦のように何もできなかったのではなく、(攻撃に)行ける時は前から行っていた。何度か惜しいシーンがありましたし、カウンターをスペインは嫌がっていた」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る