スペインの名指導者が日本代表の勝利の要因を解説。「鎌田大地と遠藤航の関係性が流れを変えた (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

鎌田が遠藤の近くでプレーしたことで好転

「後半に入って、日本が久保に代えて冨安健洋を投入することで、3-4-2-1を選択した。これは不安定だった守備を落ちつけるため、守備に際して5バックでサイドに人を置いた形と言える。当初は混乱も見られたが、次第に落ちつき始める。

 右サイドバックの酒井宏樹に本来のパワーが感じられず、伊東純也との役割分担が不明瞭になっていた。それを、酒井がウイングバック、伊東がアタックとサポートという形で整理できた。左も同じようなことが当てはまり、冨安がセンターバック3枚の左、長友が左ウイングバックになったことで守備力を高め、ドイツの侵入路を塞いだ。

 何より、ドイツの猛攻が追加点に及ばなかったのは大きいだろう。71分、4本のシュートをたて続けに打つが、権田がビッグセーブでストップ。彼はPKのミスを帳消しにし、ドイツの勢いはこれを契機に弱まった。

 直後の71分、日本は堂安律を中盤に入れ、さらに南野拓実も投じ、リスクをかけて攻撃に厚みを出す。これによって鎌田が遠藤の近くでプレーするようになると、ボールを握れるようになって、ペースをつかむ。遠藤は中盤で守りのリズムをとり、鎌田がプレーを作り始めたのだ。

 ボールを動かせるようになったことで、日本はカウンターも含めて攻撃が有効になった。

 75分、左ウイングバックに入った三笘薫がドリブルでボールを運び、仕掛けるそぶりを見せながら、裏を抜けた南野にパスを出す。南野は迷わずシュート性のクロス。GKが弾いたところ、堂安がつめた。この時、浅野拓磨もゴール前に入っており、クロスに対し、ゴールできる状況が整っていた。すばらしく『再現性のあるゴール』だったと言える。

 そして弱ったドイツに対し、日本は容赦ない。

 83分、バックラインからのボールを受けた浅野は、瞠目すべき推進力でボールを持ち上がり、マークを受けながらもニア上に叩き込んでいる。板倉滉はただ長いボールを蹴ったのではなく、確実なパスを選択できていた。これがゴールの必然につながった。浅野自身も確信があって走っていたのだろう。

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