「今のチームは過去一、一体感がある」。長友佑都が明かした、奇跡の逆転劇を生んだ要因とチームに力を与えた合言葉 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by JMPA

「1点とられたけど、これ以上の失点がなければ、絶対に何かが起こるということをピッチ内でしっかりと話し合うことができました。それに、うまく自分たちの守備がハマらない部分も想定していたので、みんな、ネガティブになることなくて、そういう時はブロックを作ってしっかり耐えることができていた。

 前半の(前田)大然のゴールがオフサイドになったけど、ああいうカウンターを狙っていこうということも、ずっとミーティングを重ねてきていたので、リードされていたけど、誰一人、焦ってなかったですね」

 ドイツに押し込まれても、リードされても、誰ひとり怯まず、ファイティングポーズをとり続けたのは、カナダ戦後、選手間やチームで何度も行なわれてきたミーティングが力になっていた。

「ミーティングで、戦術面の話もしましたが、どういうふうに戦うのか、どういうふうにワールドカップに入っていくのか、という精神的な話をみんなでしたんです。僕もその時、話をさせてもらって、侍の話をしました。

 いくら武器を磨いて綺麗にしても、すごい武器を作っても、そして技術を鍛錬して磨いてきても、結局、戦(いくさ)になって目の前の相手にビビってしまうと、そのすべてが無駄になる。

 それはサッカーも同じで、目の前の相手にビビっていたら戦術も技術も生きてこない。目の前の相手を潰すぐらいの強い気持ちで、みんなで臨もうということを話させてもらいました」

 長友の気持ちがチームに伝わったかのように、日本は押し込まれても焦らず、我慢した。そうして、ドイツに追加点を許さなかった。長友は試合後、「2点目を奪われなかったことが最大の勝因」と語ったが、日本の粘りが後半の逆転劇へとつながっていった。

 ハーフタイムでは、これ以上失点をしないことを選手間でも再確認。さらに、フォーメーションが変わることになり、どういうふうに相手をハメていくか、というところをしっかり話し合った。

 後半開始、日本は久保建英に代えて冨安健洋を投入。システムを3バックに変更し、ハーフタイムで確認したことを実践した。これが、ドイツにハマった。日本の守備が機能するようになり、前半は沈黙していた両サイドを使った攻撃が可能になった。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る