「今のチームは過去一、一体感がある」。長友佑都が明かした、奇跡の逆転劇を生んだ要因とチームに力を与えた合言葉 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by JMPA

「4バックも、3バックもかなりトレーニングしてきて、試合のなかで変わる可能性があるっていうのは、森保(一)さんからも伝えられていた。3バックに変わっても、誰も疑問に思うことなく、スムーズにできたのはしっかりトレーニングしてきた成果だと思います。後半は、相手のほうが結構アタフタして、戦術を変えたのがほんと大きかったですね」

 長友は後半12分、三笘薫と交代し、ベンチに下がった。同時に、前田に代わって浅野拓磨が入った。フレッシュな浅野が入って前からボールを追い始めると、全体が活性化され、日本は攻守に動きが出てきた。

 さらに、後半26分には堂安律が投入された。長友は、「ヒーローになってこい」と堂安を送り出したという。そして後半30分、酒井宏樹に代わって入った南野拓実がすかさず仕事をし、三笘からのボールを振り向きざまにシュート。GKが弾いたボールを堂安が詰めて同点に追いついた。

 日本は、両アウトサイドの右に伊東純也、左に三笘を配置する超攻撃的な布陣をとり、試合をひっくり返す姿勢を見せる。これまで「動かない」「後手を踏む」と言われてきた森保監督の采配だったが、ここに来て"勇気を出して戦え"と言わんばかりの積極的な采配を見せた。

「点をとりにいく時は、こういう形になるっていうのは選手に伝わっていたし、選手みんなもわかっていた。いろんな戦術的なオプションがあり、個人戦術もある。

 純也がウイングバックに入って攻めきるとか、拓磨や律なんかもそうだけど、途中から出てくる選手が流れを変える。これは、この4年間かけて、森保さんがいろんな選手を試して、誰が出ても同じレベルでプレーできるようにしてきた結果だと思いますね」

 後半38分には、板倉滉のロングパスを受けた浅野が角度のないところから豪快なシュートを決めて、ドイツを突き放した。その時も真っ先に飛び出していったのは、長友だった。

「ベンチでみんな、心ひとつになっていた。比べるのはよくないけど、ドイツのベンチとはぜんぜん違っていて、自分たちはみんな熱量が高くて、みんな一緒に戦っていた。チームがひとつになること――ずっと言い続けてきたけど、これは大事。チームは過去一、一体感があるね」

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