サッカー日本代表、エクアドル戦は相手戦術への対策なしで三笘薫も不発。最終強化段階も攻守両面でポジティブ要素が見当たらない (3ページ目)

  • 中山 淳●文 Text by Nakayama Atsushi
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

敵陣の縦パスもクロスも少なくなった攻撃

 一方、攻撃面はどうだったのか。アメリカ戦とは比較して何か変化はあったのか。

 まず、日本のビルドアップに対して、守備時のエクアドルは4-4-2に陣形を変形させ、前からのプレスをほとんどかけずにブロックを形成。したがって、プレッシャーを浴びないセンターバック(CB)の谷口彰悟と伊藤洋輝は比較的自由にボールを保持できたのだが、一方で、そこから前進するのに苦労した。フィールド10人がそれぞれマッチアップする状況が生まれていたからだ。

 ボランチの田中碧と柴崎岳のどちらかが、相手2トップの間でパスコースを作ったが、2人には相手のダブルボランチ(20番と23番)のどちらかが付いていくので、ボールを受けてもバックパスで戻してしまうか、横パスでサイドバックにつけるのが精一杯。CBが圧力を浴びた場合は、ロングボールを蹴るといった状況が続いた。

 また、1トップ下の南野拓実がミドルゾーンに下りて縦パスを受けるシーンも見られたが、ボールを受けたあとにロストするケースが多く、ボールの出口としての効果は薄かった。

 6月のブラジル戦では、ボールを蹴らずにパスをつないで前進を図ろうとしていた森保ジャパンだが、今回の9月シリーズでは、そういった方法はとっていない。

 それを証明するのが、以前は4-2-3-1の機能性を測るバロメーターでもあった、敵陣でのくさびの縦パス本数だ。この試合の日本が記録したそれは、前半5本(成功3本)、後半1本の計6本のみ。敵陣でボールを保持し、ボランチが縦パスを狙う状況がほとんど生まれなかったからだ。つまり、アメリカ戦と同じ現象である。

 それはサイドからのクロスボールの本数にも言えることで、前半4本(成功2本)、後半5本(成功3本)の計9本と、アメリカ戦の10本とほとんど同じ。さらに言えば、この試合で最もクロスを入れたのは、2本の三笘薫、山根視来、相馬勇紀の3人で、左サイドバック(SB)長友佑都のクロスはゼロだった。この現象も、中央が閉じられている場合はサイドから攻めるという、以前の森保ジャパンの攻撃コンセプトとは異なっている点だ。

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