イタリア人記者が見たU-21日本代表。称賛すべき「4つの資質」と、課題はシューズの紐? (2ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

「スピードと秩序のあるチーム」

 後半、日本はすぐに同点ゴールを狙って動き出す。藤尾翔太、佐藤恵允の投入は、監督が評価されるべき点だろう。日本のゴール自体は多少の運のよさもあった。DFの加藤聖が放ったシュートはゴールマウスから大きく外ていたが、これに藤尾がヘッドを合わせることに成功し、同点とした。"青きサムライ"は決して簡単にはあきらめないことを、身をもって証明してみせた。

 フェアプレー。この試合では両チームとも一枚のイエローカードも出されなかった。日本は勝利を求め激しく戦ったが、それでも決してラフなプレーはしなかった。前半の斉藤、後半の藤田譲瑠チマと細谷真大のシュートがもう少し精度が高ければ、日本のミッションは達成されていたかもしれない。

 そして毎度のことだが、我々を感心させたのは日本の選手とサポーターが見せた礼儀正しさだ。イタリアの観衆は日本人が見せるちょっとしたしぐさや振る舞いに、心地よい驚きを感じていた。残念ながら我々はそういうことに慣れていない。

 日本側の太鼓の音は途切れることなく、90分間ずっと選手たちを支え続けた。試合後、選手たちが彼らに感謝を告げに行ったのは当然のことだろう。しかし、それだけではなかった。選手たちはイタリアサポーターを含めたスタンドにいたすべての観客に、試合前と後の2回、深々とお辞儀をしたのだ。この振る舞いは高く評価され、スタジアムに温かい拍手を巻き起こした。いいサッカーだけでなく、その礼儀正しさは多くのイタリア人の心に残った。

 もうひとつイタリアで話題になっているのが、日本チームのロッカールームだ。彼らがバスに乗ると、ロッカールームに清掃のスタッフが入ったが、そこで見たのは床にゴミひとつ落ちていない完ぺきな状態の部屋だった。イタリアではしばしば、恥ずかしいほどの状態でロッカールームを出ていくチームが見られるからだ。

 日本に対して、U-21イタリア代表監督パオロ・ニコラートもこう賛辞を述べている。

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