日本代表の攻撃陣を、レアル・ソシエダ流、フランクフルト流に組み合わせてみた (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by KYODO

CL、ELで活躍中の選手を有効活用する

 列挙した指揮官に共通している点は、「長所を見極める」という点だろう。短所は誰でも見つけられる。「線が細い」「守りが弱い」「足が速くない」「運動量が足りない」と、いくらでもある。しかし優れた指揮官は、ポジティブに戦力を使えなければならない。チームのために長所で貢献できるなら、短所をできるだけ隠させ、ピッチに立たせるのだ。

 欧州の監督たちは、何万通りもある戦い方のなかから、選手が活躍できる形を選択している。複雑な数式で答えを解くようなもので、そのスパイスは「勇敢さ」、能動的に攻める姿勢と言えるかもしれない。優秀な選手は各自でスペースを見つけ、調和を生み出せる。たとえばレアル・ソシエダは、同じ左利きを多く配し、共有したイメージのなかでプレーし、マンチェスター・ユナイテッドを敵地で撃破した。

 言うまでもないが、主体的サッカーができる人材がいなかったら、勝つための算段を整え、効率を極めることも手段のひとつだろう。慎重に「石橋を叩いても渡らない」リスクマネジメントを突き詰め、「相手のよさを消す」に執着する。しかし、日本には攻撃的なポジションに人材がいる。

 不調が伝えられる南野も、使うべきポジションで使えたら、ゴールを十分に狙えるはずだ。直近のランス戦では途中出場で、右FWのような位置から1得点1アシスト。彼はやはり、ゴールに近いポジションで怖いアタッカーだ。

 そう考えると、代表監督は国内での経験で編み出した狭い了見ではなく、CL、ELで活躍する日本人にポジションを与え、彼らが作り出すサッカーを促すべきだろう。一例を挙げると、以下の布陣はかなり攻撃的だが、不可能ではない。

       古橋(南野)

三笘    鎌田  久保    堂安  

「守備が厳しい」

 それは正論なのだが、一方で攻撃の可能性は確実に広がる。事実、ここに挙げた選手たちは、そのポジションで欧州の列強に堂々と挑み、ひとつの成果を挙げている。「攻め勝つ」という論理だ。

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