日本代表の韓国戦完勝も喜べない。森保一監督が横浜F・マリノスに学ぶべきこと (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

歴然としていたレギュラー組とサブ組

 中国戦に先発したこのなかで、小池と佐々木は第3戦の韓国戦にもスタメンで出場している。小池の場合は、病欠となった山根の代役だろうが、佐々木は森保監督のお気に入りと考えるべきだろう。ちなみに大南拓磨、岩崎悠人、満田誠の3人は言うならばCグループだ。3試合を通して1度も先発を飾ることがなかった選手たちである。

 A、B、C。各グループの顔ぶれが当初から決まっていたことが、2戦目、3戦目のスタメンを通して明らかになった。

「できるだけ多くの選手に出場機会を与える」と、森保監督は大会前に述べている。まずテストありき。それは平等な視点で選手を扱おうとする監督が発した台詞に聞こえる。ところが実際はまるで違った。招集した26人を当初からA、B、Cにしっかりクラス分けしていた。最強の韓国にAグループで臨むために。あるいは保身のために、である。香港戦及び中国戦のスタメンは、韓国戦に万全の体制で臨むための、そこから逆算して考えた答えだったのだ。U-23同然のメンバーで臨んできた弱小の中国に0-0で引き分けてしまった理由でもある。

 招集した選手を白と黒、レギュラー組とサブ組に分けて戦う。想起するのは、2018年ロシアW杯を戦った西野ジャパン。1戦目(コロンビア戦)と2戦目(セネガル戦)をAで戦い、3戦目(ポーランド戦)をB、そして4戦目で再びAに戻して戦った西野朗監督の采配である。

 ポーランドに0-1で敗れながら、フェアプレーポイントの差で勝ち上がる幸運な試合を現場で眺めながら、筆者は西野監督が登録選手を1戦ずつ徐々に変えていかなかった、その起用法を恨んだ。目先の結果に追われたことで、それができなかったからだと考えられるが、もしAで戦った4戦目のベルギー戦に勝利していたら、5戦目(準々決勝)は体力的に考えてBで戦うしか方法がなかったのだ。

 大会後、新監督に就任した森保監督は、目標はW杯ベスト8だと宣言した。非西野式で戦わなければそれは難しい。ところが、2017年のアジアカップでも、2020年の東京五輪でも、森保監督は西野式で戦った。東京五輪後、なぜ選手をローテーションで起用することができなかったのかと問われると、森保監督はこう述べた。

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