森保一監督は気がついているのか。日本代表が中国戦でチャンスをつくれなかった理由 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by KYODO

監督不信に陥る最大の理由

 純然たるA代表でスタメンを飾りそうな左サイドの2人組=南野拓実と長友佑都にも同じことが言える。南野と森島は同類の選手として括ることができる。つまり森保監督は、常に好ましくない関係にある2人を選んでいることになる。問題にいまだ気づけずにいるわけだ。問題だとの認識が欠如していると判断するしかない。ピッチを眺めたとき、これはマズいと思わないのだろうか。監督不信に陥る最大の理由である。

 森島が相馬勇紀と交代でピッチを去ったのは後半36分だった。0-0という結果と、森島を引っ張りすぎたことは密接な関係にある。

 サンフレッチェ広島の前身、マツダで育った森保監督は、そのよしみからだろうか、広島から今回、大量6人もの選手を選んでいる。この中国戦では、先発で5人(大迫敬介、荒木隼人、野津田岳人、佐々木、森島)、途中交代で1人(満田誠)と、そのすべてが投入された。この強引な招集劇には、広島ファンでさえ気恥ずかしいというか、困惑の域に達しているのではないだろうか。

 森島を4-2-3-1の3の左で先発起用するなら、後半24分、活躍していた宮市亮に代わり4-2-3-1の3の右に投入された満田を、最初からそこで起用したほうが断然、よかった。どうしても森島を使いたいなら1トップ下だ。しかし選手の格で勝るのは脇坂。脇坂を外せない選手とするならば、布陣をいじるしか方法はない。

 4-3-3のインサイドハーフこそが、2人が同時に収まるための最適な場所になる。となると、守備的MFは1枚になる。野津田と橋本拳人。2人はどちらか1人でいいという話になる。この日の試合でもそうだったが、存在感で上回るのは橋本だ。本来は海外組である。ここ数カ月、森保監督の構想から外れていたが、実力は十分。橋本は野津田に勝る。

 広島勢を1人か2人、選びすぎていることがわかる。4-2-3-1の3の左も、右も、1トップ下もできる鈴木優磨(鹿島アントラーズ)を素直に招集しなかったツケを、ここに見ることができる。鈴木がいれば、先述の問題はすべてクリアしていた。

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