海外組を含めた日本代表でも試したくなった香港戦の選手とコンビネーション

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 東アジアE-1選手権に臨む日本代表26人には、代表初招集となる新顔や代表歴の浅い選手が多数含まれている。この日の香港戦に先発した11人も、代表戦経験者は山根視来(12回)、谷口彰悟(10回)、畠中槙之輔(8回)、杉岡大暉、相馬勇紀(各3回)、岩田智輝(2回)の6人で、他の5人はデビュー戦だった。練習日はわずか2日。経験値に乏しいバリバリの急造チームである。

 この日、鹿島サッカースタジアムに集まった観衆はわずか4980人。地元・鹿島アントラーズの選手が誰もいないという事情を別にしても、期待感の低さはその数字に現れていた。

 しかし、結果が6-0と、こちらの想像を上回ったから言うわけではないが、プレー内容は上々だった。時間の経過とともに鑑賞に堪えうる円滑なものになっていった。もう少し多くの観衆の前でプレーさせたかったのは、正直な感想だ。

 海外組を含めた純然たる日本代表にいい影響を与えそうな試合でもあった。そこで試してみたくなる選手、見てみたいコンビネーションプレーは確かに存在した。

代表デビュー戦となった香港戦で2得点をあげた西村拓真代表デビュー戦となった香港戦で2得点をあげた西村拓真この記事に関連する写真を見る 理想的な攻撃は左より右からのほうが多かった。町野修斗がヘディングで合わせた2点目のゴール。相馬が決めた5点目のゴール。さらには町野のこの日2点目のゴールになった6点目のゴールは、いずれも右から崩したものになる。

 立役者は3ゴールにいずれも絡んだ右SBの山根視来だ。町野がヘディングで決めた2点目はほぼ、出し手と受け手の2者間の関係によって生まれたピンポイントクロスによるゴールだったが、5点目、6点目は、サイドアタッカーのコンビネーションプレーに目が奪われた。

 山根に絡んだのはいずれも水沼宏太だった。今回、初めて代表に招集された32歳の右ウイング。Jリーグで現在首位を行く横浜F・マリノスは、エウベウ、仲川輝人、宮市亮、それに今季で3シーズン目を迎えた水沼と、戦力になりそうなウイングを4枚揃えているが、そのなかで水沼の出場時間が一番多くなるとは、その入団時には想像だにしなかった。両翼を駆使する横浜FMと、そのウイングプレーがマッチした結果だと言えるが、代表デビュー戦となった香港戦では、山根によってその魅力が引き出される格好になった。

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