田中碧が中盤で活躍できる理由を風間八宏が解説。この先の成長のカギは「ドイツでチームの中心になれるかどうか」
第4回:田中碧(デュッセルドルフ/日本)
独自の技術論で、サッカー界に大きな影響を与えている風間八宏氏が、国内外のトップクラスの選手のテクニック、戦術を深く解説する。第4回は、日本代表の中盤のポジションをしっかりとつかみ、カタールW杯での活躍が期待されている田中碧を取り上げる。
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丁寧で正確なプレー
昨年10月12日に行なわれた、カタールW杯アジア最終予選のオーストラリア戦。森保一監督の進退がかかるなか、その大一番の前半8分に貴重な先制ゴールを決めたのは、最終予選で初出場となったデュッセルドルフ(ドイツ2部)の田中碧だった。
記録上は2019年E-1サッカー選手権でA代表初出場をはたしていたものの、田中にとってはこの試合が実質的な代表デビュー戦。そんな大舞台でネットを突き刺したその一撃は、チームの勝利を呼び込むきっかけとなったうえ、多くのサッカーファンを熱狂させた。
田中碧が中盤で活躍できる理由を風間八宏氏が解説この記事に関連する写真を見る 風間八宏氏は、あのゴールシーンひとつを切り取っても、田中のよさ、プレーの特徴が凝縮されている、と指摘する。
「まず、すごく丁寧なコントロール(トラップ)をして、ボールをキックしやすい場所に置けていますよね。この丁寧さ、正確さが、シュートまでのスピードを生んでいる。トラップからシュートまで、すごく余裕を持ってできているように見えるのは、プレーのひとつひとつが正確だからです。
左隅に決めたシュートの精度もそうですが、そういった丁寧で正確なひとつひとつのプレーが田中の特徴で、その意味で、ミスが少ない選手ですね」
風間氏が解説してくれた田中の特徴、つまり正確にボールを止める、蹴るといった部分は、もともと風間氏が川崎フロンターレに植えつけたプレーの根幹部分。デュッセルドルフ移籍を決めた昨年6月まで、その川崎の主軸MFとして活躍していた田中のプレーに、それらの要素が備わっているのは当然なのかもしれない。
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