日本代表の懸案だった「ポスト長友」に新星登場。伊藤洋輝はW杯本番でも使えるか

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

 6月の国際試合4試合に向けて招集された日本代表メンバーのなかでは、唯一の初代表。今回のパラグアイ戦がA代表での初陣となったDF伊藤洋輝が、上々の代表デビューを果たした。

パラグアイ戦でA代表デビューを飾った伊藤洋輝パラグアイ戦でA代表デビューを飾った伊藤洋輝この記事に関連する写真を見る 現在23歳の伊藤は昨夏、ジュビロ磐田からドイツのシュツットガルトへ期限付き移籍。必ずしも即戦力と期待されての獲得ではなかったようだが、昨季開幕早々に出場機会を得るや、そのチャンスをものにしてレギュラーに定着した。

 身長186cmとサイズに恵まれ、左利きで長短のパスを正確に蹴り分ける。本人曰く、「コロナやケガで(試合に出られない選手が多かったという)運もあった」にしても、ドイツ・ブンデスリーガというハイレベルな舞台で、高い潜在能力が引き出された格好だ。

 しかしながら、シュツットガルトでの主なポジションは、3バックの左DFや4バックの左センターバックである。現在の日本代表がほぼ4バック一択であることを考えると(森保一監督は今後の3バック併用を示唆しているが)、ライバルは必然的に4バックの左センターバック、すなわちDF冨安健洋になり、ポジション奪取は難しいかに思われた。

 ところが、である。

 代表デビュー戦で託されたポジションは、必ずしも本職とは言えない左サイドバック。それにもかかわらず、ボールを持って前を向いた時の落ち着いたたたずまいは堂に入っており、精度の高いロングフィードやタイミングのいいオーバーラップで、いくつかのチャンスを作り出した。

 なるほど、この手があったか、という起用である。

 伊藤自身は「サイドバックは(試合出場の)回数をこなしていない」と経験不足を認め、「何度かいい攻撃参加ができ、(FW三笘)薫くんとのコンビネーションでチャンスが作れたが、もっとクオリティを上げ、回数を増やさないといけない」と語り、反省を忘れてはいなかった。

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