アンリを止めた坪井慶介の日本代表ベストゲーム。「でも、ず~っと引っかかっていた」ことがある

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

日本代表「私のベストゲーム」(8)
坪井慶介編(前編)

これまでに数多くの選手たちが日本代表に選出され、W杯やW杯予選、アジアカップやコンフェデレーションズカップなど、さまざまな舞台で活躍してきた。そんな彼らにとって、自らの「ベストゲーム」とはどの試合だったのか。時を経て今、改めて聞いてみた――。

 かつては4年に一度、一時期は2年に一度行なわれていたこともあるFIFA主催のコンフェデレーションズカップ。現在はその姿を消してしまったものの、各大陸の強豪が一堂に会する国際大会は、極東に位置する日本にとって、世界レベルのサッカーを肌で感じることのできる貴重な機会となっていた。

 2002年に自国開催のワールドカップを終え、新たにジーコ監督を迎えて再出発した日本代表にとっても、最初に世界との差を痛感させられたのが、2003年にフランスで開催されたコンフェデレーションズカップだったと言えるだろう。

 坪井慶介の脳裏にも、その記憶は鮮明に焼きついている。

「力を発揮すればいいゲームはできるけど、それだけじゃあ、やっぱり勝てない。僕にとっても、チームにとっても、それを体感できたっていう意味では、非常に重要な大会であり、試合だったのかなと思います」

 2003年6月20日、フランス・サンテティエンヌで行なわれたコンフェデレーションズカップのグループリーグ第2戦、日本vsフランス。

 坪井が選ぶ、自身の日本代表ベストゲームである。

坪井慶介が自らの日本代表ベストゲームに挙げた2003年コンフェデレーションズカップのフランス戦坪井慶介が自らの日本代表ベストゲームに挙げた2003年コンフェデレーションズカップのフランス戦この記事に関連する写真を見る 当時23歳だった坪井は、この大会で全3試合に先発フル出場。その記録だけを見ると、すでに日本代表の主力として確固たる地位を築いた風格が漂ってきそうだが、実のところ、坪井の日本代表デビューは、コンフェデレーションズカップ開幕のわずか1週間前にすぎない。

 当の本人でさえ、「ジーコさんは本当に思い切った采配をしたなって思います」と言ってしまうのもうなずける。

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